空き地の草が伸びてしまい、市役所に刈ってもらえないかとお調べではないでしょうか。この記事は、横浜市で空き地や農地の草にお困りの方に向けて、市に頼めること・頼めないことを整理したものです。
横浜市では、市が私有地の草を刈ることは前提にできません。 横浜市は「『空き地』については、空家法の対象ではありません。管理についても、土地所有者が行うものになります」と案内しています。
なお、空き地の管理について独自の条例を設けている自治体もあり、扱いは市町村ごとに異なります。横浜市以外の土地については、その市町村へご確認ください。
理由は制度の作りにあります。空家法は「空家等」を建築物とその敷地と定義しているため、建物のない空き地は、そもそも制度の入口に入りません。
この記事では、条文で対象範囲を確認したうえで、行政に何を頼めるのか、所有者・近隣それぞれが何をすればよいのかを整理します。
空き地が対象外である理由

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)2条1項は、次のとおり定めています。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
「建築物又はこれに附属する工作物」とその敷地が対象です。 建物のない土地は、この定義に当てはまりません。
| 空家法の対象 | 市の措置 | |
|---|---|---|
| 建物のある空家 | 対象 | 助言・指導、勧告、命令などの段階がある |
| 建物のない空き地 | 対象外 | 制度上の枠組みがない |
空家であっても、市が直ちに草を刈るわけではありません。同法22条1項は、市町村長が特定空家等の所有者等に対し「除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置〔中略〕をとるよう助言又は指導をすることができる」と定めています。改善されない場合に勧告(2項)、命令(3項)と段階が進む構造です。
つまり空家であっても、行政が行うのは所有者へ措置を求めることであり、行政が代わりに作業することが出発点ではありません。
なお同法5条は所有者等の責務を定めています。
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。
農地の場合は、これとは別に農地法2条の2が権利者の責務を定めています。詳しくは農地の雑草で苦情が来たら【所有者の義務と対応】をご覧ください。
市に相談できること
横浜市の案内から読み取れる範囲では、相談できる先は次のとおりです。
- 管理不全の空家 — 現地調査、所有者調査、文書による働きかけの流れが示されています
- 電線への接触 — 保安上問題がある場合は、当該電線の管理者へ連絡するよう案内されています
- 越境した樹木の枝 — 「市が越境した枝を切ることはできません」とされ、民法上の相隣問題として当事者間での解決を求められています
建物のない空き地そのものについて、対応の枠組みは示されていません。 道路など公共の場所へ影響が及んでいる場合の窓口は、区役所へご確認ください。
見た目が空き地でも、所有関係は外からは分かりません。 相談するときは、場所、道路への張り出し、通行への影響など、具体的な状況を伝えてください。
横浜市は、所有者調査について「登記簿等が未更新な場合や相続が複雑化している案件もあり、調査に1年以上かかることがあります」と示しています。行政からの働きかけを待つ前提では、時間がかかります。
所有者の進め方
通知や苦情を受けた場合、次の順で確認します。
- 地番と境界を確かめる — 公図、現地の杭や塀を確認し、自分の土地から生えている草木かを確かめます。遠方にお住まいだと、通知の写真だけでは範囲が分かりにくいことがあります
- 現況を把握する — 草丈、面積、傾斜、石やごみ、樹木、車両の進入経路
- 刈草の扱いを決める — 現地に残すか搬出するかで作業内容が変わります
- 危険の有無を伝える — 電線、擁壁、ハチの巣などがあれば、無理に自分で作業せず業者へ伝えます
境界が不明確なら、刈る範囲を決める前に確認が必要です。 隣地まで刈ってしまうと別の問題になります。
依頼先ごとの向き不向きは草刈りを頼める業者の種類と向き不向き、料金の決まり方は草刈り業者の料金相場と選び方で整理しています。
行政から業者を紹介された場合も、契約は所有者と業者の間で行うのが基本です。 シルバー人材センターなどの案内がある場合も、利用条件と対応範囲を直接ご確認ください(シルバー人材センターの草刈り料金と、断られるケース)。
近隣の方の進め方
隣の空き地の草が気になっても、所有者の承諾なく敷地内へ入って草木を切ることは避けてください。 条文にもとづく整理は隣の空き地の草を勝手に刈ってもよいかをご覧ください。
相談するときは、草が伸びているという説明だけでなく、具体的な影響を伝えると状況が伝わります。
- 歩道が通れない
- 交差点の見通しが悪い
- 枝が自宅側へ越境している
- 枯れ草が堆積している
写真を撮る場合も私有地へ立ち入らず、公道や自分の敷地から記録してください。道路への張り出しや倒木の危険がある場合は、道路管理者や区役所へ。緊急性が高いときは消防・警察など状況に合う機関へ連絡します。
所有者へ直接連絡できる場合は、責める表現を避け、場所と希望する対応を伝えてください。横浜市は、行政から働きかけを行っても「所有者の様々な事情から」適切な管理までに時間を要する場合が多くある、としています。
よくあるご質問
空き地の草刈りを市役所に頼めますか。
私有地であれば、原則として市が刈ることはありません。空家法2条1項が「空家等」を建築物とその敷地と定義しているため、建物のない空き地は制度の対象外です。横浜市も管理は土地所有者が行うものと案内しています。
建物がある空家なら市が刈ってくれますか。
直ちに市が作業するわけではありません。空家法22条は、市町村長が特定空家等の所有者等に対し立木竹の伐採等の措置をとるよう助言・指導できると定めており、改善されない場合に勧告、命令と段階が進む構造です。
所有者が分からない空き地はどうすればよいですか。
空き地について横浜市は、管理は土地所有者が行うものとし、当事者間での解決を案内しています。まず区役所へ状況を伝えて相談先をご確認ください。なお横浜市は、空家の所有者調査について1年以上かかることがあると示しています。
道路に草が出ています。どこへ連絡しますか。
道路管理者または区役所です。交差点の見通しなど交通に関わる場合は、場所と写真を示して伝えてください。
通知が届きました。自分で刈らないといけませんか。
ご自身で作業するか、業者へ依頼するかは選べます。傾斜地や樹木がある場合、電線やハチの巣がある場合は無理をせず業者へご相談ください。
一度刈れば終わりますか。
雑草は再び伸びます。越境が起きる前に現地を確認する時期を決めておいてください。防草シートなどを検討する場合、農地法2条の2が権利者に「農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならない」と定めており、農地以外の状態にする工事は転用に当たる可能性があります。着手前に農業委員会へご確認ください。
刈った後をどうするか
一度の作業で管理が終わるとは限りません。周囲への越境が起きる前に、現地確認の時期を決めておいてください。
土地を今後使わない場合は、管理を続ける方法と、売却・賃貸・農地利用などの方向性を分けて考えます。刈り続けた場合の負担は草刈り費用と固定資産税、10年続けるといくらになるか、負担を減らす方向は農地の草刈り・管理の負担を減らしたい方へで整理しています。
役所からの通知を受けた場合の対応は役所から雑草の通知・指導が来たときの対応をご覧ください。
現況写真や地番が分かる方は、農地・空き地の草刈りのご依頼から作業範囲をお知らせください。面積が分からないままでもお申し込みいただけます。
本記事は制度の一般的な内容をご説明するものです。個別の土地について行政がどう対応するかは、状況や自治体により異なります。管理責任の所在に争いがある場合は弁護士へご相談ください。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。









