不動産会社に断られた市街化調整区域の土地、相談先はあるか

不動産会社に断られた市街化調整区域の土地、相談先はあるか

相談先はあります。ただし、断られた理由によって行き先が変わります。 開発・建築なら横浜市の担当窓口、農地転用なら農業委員会、境界なら土地家屋調査士、登記なら司法書士、会社の方針が理由なら別の宅地建物取引業者です。

したがって「市街化調整区域だから」で終わらせると、次に進めません。 何が確認できなかったのかを聞き分けることになります。当サイトでは、次の4つの観点で整理してご案内しています。

#理由の種類内容次に確認する先
1法令上の制限建築・開発・農地転用の見通しが立たない横浜市の担当窓口、農業委員会
2物理的条件接道、進入路、形状、造成、高低差現地調査、土地家屋調査士
3権利関係親名義、共有、相続未登記、境界未確認司法書士、土地家屋調査士
4会社の方針得意な地域・用途・顧客層に合わない別の宅地建物取引業者

4が理由であれば、別の宅地建物取引業者では扱いが変わる可能性があります。 一方、1〜3が理由であれば、その論点を先に確認しないまま別の会社へ相談しても、同じところで止まります。

どの確認が不足しているのかを聞き、回答を記録してください。 次の相談先へ、同じ資料とともに伝えるためです。

目次

1. 法令上の制限(建築・開発・農地転用は別々の審査)

農地転用が認められる可能性と、予定建物の建築が認められる可能性は、別の審査です。 一方だけを確認して売却条件を決めないでください。

農地転用について、横浜市では市長が許可権者です。 神奈川県内で農地転用許可権限に係る指定市町村となっているのは横浜市のみで、指定の効力が生じた日は平成28年11月1日です。

期間の目安も公表されています。

  1. 事前相談(来庁予約が必要。公図、登記事項証明書、案内図、前面道路の水道・下水道・ガス管等の埋設状況がわかる資料を持参)
  2. 現地調査(事前相談から約2週間〜)
  3. 申請(受付〆切は毎月10日。土日祝日の場合は前営業日)
  4. 農業委員会会議(毎月下旬頃)
  5. 横浜市審査(申請月の翌月中旬頃)
  6. 許可書発行(申請月の翌月下旬頃)

他法令が関係する場合、その進捗によって許可日が遅くなります。 横浜市は他法令の例として、開発許可、建築許可、盛土規制法許可、雨水浸透阻害行為の許可、風致地区内行為許可を挙げています(2026年8月13日確認)。

許可基準は立地基準・一般基準・個別基準の3つです。 一般基準には転用事業の確実性(資力・信用、同意、遅滞なく転用の用に供すること、他の免許等の見込み、地域計画に登載された農地でないこと等)と被害防除が含まれます。

農用地区域に入っている場合、順番が変わります。 まず区域からの除外が必要になり、横浜市は農業振興地域整備計画の変更について、定期的な変更(おおむね5年ごと)の期間中は随時的な変更を受け付けないとしています。地番を調べたうえで農政事務所へお問い合わせください。

事務所電話管轄
北部農政事務所045-948-2477鶴見、神奈川、保土ケ谷、旭、港北、緑、青葉、都筑
南部農政事務所045-866-8491西、中、南、港南、磯子、金沢、戸塚、栄、泉、瀬谷

手順は農地を転用したい方へ、区域の制限は市街化調整区域で土地活用を考える手順で整理しています。

2. 物理的条件

接道、排水、擁壁、上下水道、境界、埋蔵文化財などが利用計画に影響する場合があります。 既存建物がある土地でも、建築時期、用途、許可履歴によって扱いが変わります。

規模も条件になります。 eMAFF農地ナビに公表されている横浜市の農地32,259筆では、1筆あたり面積の中央値は462㎡(約140坪)、500㎡未満が53.1%でした(2026年8月13日取得。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。 この集計の全体は横浜市の農地データで公開しています。

3. 権利関係

境界と残置物は、手放す方向で先に効いてきます。 法務省の相続土地国庫帰属制度の統計では、令和8年6月30日現在(速報値)の不承認93件のうち最も多い理由は「土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地」の45件でした。却下83件では、添付書類の提出がなかったものが37件、現に通路の用に供されている土地が22件、「境界が明らかでない土地」が21件でした。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(2026年8月13日確認)

名義が亡くなった方のままの場合、相続登記の申請義務があります。 不動産登記法76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者に対し、相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請を求めています(2026年8月13日確認)。手順は農地の相続で名義変更(相続登記)を進める手順で整理しています。

4. 会社の方針

制度上扱える土地でも、会社の方針に合わない場合があります。 不動産会社ごとに得意な地域、用途、顧客層が異なるためです。

この場合、土地の条件は変わっていません。 別の宅地建物取引業者へ、同じ資料をそろえて相談することになります。

相談先は論点で分ける

論点相談先
開発・建築の可否横浜市の担当窓口、制度に詳しい専門家
農地転用の申請書類作成行政書士
登記司法書士
境界土地家屋調査士
税務の個別取扱い税理士、税務署
売買・賃貸の仲介・媒介宅地建物取引業者

当相談室が自ら仲介・媒介を行うことはありません。 土地の条件を整理したうえで、必要に応じて提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。

相談先を探すときは、「調整区域も対応」と書かれているかだけで判断しないでください。 横浜市の許可基準、農地を含む案件、現地調査、行政窓口への事前確認をどう進めるかを聞くことになります。

再相談にそろえる資料

種類資料
土地の基本固定資産税の通知書、登記事項証明書、公図、地積測量図
区域都市計画図、農用地区域の該当有無
現況現地写真(道路からの入口、接道部分、土地全体、隣接地、高低差、残置物)
建物がある場合建築確認、開発許可に関する資料
農地の場合農業委員会からの通知、転用履歴

希望は優先順位を付けて伝えてください。 「売却だけ」「貸すことも検討」「当面は管理」のどれを優先するかです。あわせて、許容できる条件(売却時期を急ぐか、建物を残すか、農地としての利用も検討するか)も伝えます。

ただし、調査の前に用途を一つに決めつける必要はありません。 制度上難しい理由が判明したら、その理由を家族とも共有してください。

手放す方向に進めた後で方針が変わることもあります。 相続土地国庫帰属制度の統計では、取下げ1,063件のうち562件が「有効活用の見込みが生じた」を理由としています(2026年8月13日確認)。

市街化調整区域の土地を手放したいときの確認事項もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

不動産会社に断られたら、もう処分できないのですか。

取り扱いを断られたことは、処分方法が一つもないという結論ではありません。法令上の制限、物理的条件、権利関係、会社の方針のどれが理由かによって、次の相談先が変わります。まず、どの確認が不足しているのかを聞いてください。

「市街化調整区域だから」としか言われませんでした。

その回答だけでは次に進めません。建築の可否、農地転用の可否、接道、境界、名義のどこが問題かを分けて確認することになります。分からない場合は、地番と現況写真をもとにご相談ください。

農地転用と建築の許可は一緒に判断されますか。

別の審査です。農地転用が認められる可能性と、予定建物の建築が認められる可能性は分けて確認してください。一方だけを確認して売却条件を決めないことをお勧めします。

農地転用にはどのくらいかかりますか。

横浜市の公表資料では、申請の受付〆切は毎月10日、農業委員会会議が毎月下旬頃、市の審査が申請月の翌月中旬頃、許可書発行が申請月の翌月下旬頃とされています。事前相談から現地調査までは約2週間〜です。他法令が関係する場合はさらに時間がかかります。

境界が分からなくても相談できますか。

できます。ただし手放す方向では境界が効いてきます。相続土地国庫帰属制度の統計では、却下83件のうち「境界が明らかでない土地」が21件挙がっています(件数が最も多いのは、添付書類の提出がなかったもので37件)。土地家屋調査士への相談が必要になる場合があります。

御社が売却してくれるのですか。

当相談室が自ら仲介・媒介を行うことはありません。土地の条件を整理したうえで、必要に応じて提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。

ご相談について

土地のどこが課題か分からない場合も、地番と現況写真があればご相談いただけます。 論点を法令・物理・権利・方針に分けて整理します。

無料の一次診断からお申し込みいただけます。

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この記事を書いた人

横浜市周辺の農地・市街化調整区域の土地について、国や自治体が公表している情報をもとに、所有者の方がまず確認すべきことを整理して発信しています。登記・許認可・測量・税務・売買の各手続きは、それぞれの分野の専門家と連携して進めます。

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