毎年の草刈り費用に、補助金が使えないかとお調べではないでしょうか。耕作放棄地の管理費用を抑えたい方に向けた記事です。
「草だけ刈りたい」という目的では、補助の対象から外れることがあります。 農林水産省が公表する都道府県単独事業の一覧を見ると、神奈川県から掲載されている6事業はいずれも「耕作放棄地の再生」「担い手への農地集積」を目的としており、再生・利用が前提に置かれているためです。実施主体も県または市町村等で、個人の土地所有者ではありません。
確認先は、土地の所在地の市区町村の農政担当窓口です。 そのとき、今後その土地をどうしたいのか(再び耕作したいのか、貸したいのか、草だけ刈りたいのか)を伝えられるかで、案内される制度が変わります。
この記事で書かないこと
先にお断りしておくと、本記事では具体的な補助金の名称・金額・要件をご案内しません。 農地に関する補助制度は国・都道府県・市区町村のそれぞれにあり、内容も対象も年度ごとに変わります。名称や金額を書くと、読まれた時点ではすでに変わっていることが起こりえます。誤った情報でご判断いただくことは避けたいため、考え方と確認先の整理に留めます。
補助制度の一般的な考え方

この一覧に掲載されている事業に共通するのは、「農地として再生・利用する」ことが目的に置かれているという点です。
農林水産省が公表している「荒廃農地の再生等に活用可能な事業~都道府県単独事業~」(令和7年4月)で、神奈川県からは6つの事業が掲載されています。
| 事業名 | 事業実施主体 | 対象地域 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 市町村事業推進交付金(農とみどりの整備事業) | 市町村等 | 県内全域(農業振興地域) | 耕作放棄地の発生防止、再生、担い手等への農地集積・集約化の促進及び景観形成 |
| 小規模農地基盤整備事業(簡易基盤整備事業) | 県 | 県内全域(農地中間管理事業対象農地) | 小規模なまとまった農地の生産基盤の確保や耕作放棄地の解消・発生防止等 |
| 荒廃農地復旧流動化推進事業 | 県 | 県内全域(耕作放棄地) | 耕作放棄地の発生防止、再生、担い手等への農地集積・集約化の促進 |
| かながわホームファーマー事業 | 県 | 県内全域(耕作放棄地) | 耕作放棄地の再生、農地の保全、住民の農業体験の機会創出及び担い手育成 |
| かながわ農業サポーター事業 | 県 | 県内全域(耕作放棄地) | 担い手育成、耕作放棄地の再生及び利用促進 |
| オレンジホームファーマー事業 | 県 | 県内全域(耕作放棄地) | 耕作放棄地の再生、農地の保全 等 |
出典:農林水産省「荒廃農地の再生等に活用可能な事業~都道府県単独事業~(令和7年4月)」(2026年8月13日確認)
目的欄に並ぶのは「再生」「利用促進」「担い手」です。 補助の内容も、たとえばかながわ農業サポーター事業では「耕作放棄地の再生作業(障害物除去、深耕、整地、客土、有機物投入等)に係る経費を補助する」とされています。単純な除草の費用を補填する趣旨ではありません。
なお同資料には「掲載事業は、全ての事業を網羅したものではなく、各都道府県の判断により報告のあった事業である」との注記があります。掲載されていない制度がある可能性はあります。
一方で、「農地として使う予定はないが、近隣に迷惑がかからないよう草だけ刈っておきたい」という目的は、この考え方から外れます。そのため、単純な除草費用の補填として使える制度は限られる場合があります。
もう一つ、事業実施主体の欄を見てください。 上表の神奈川県の6事業は、いずれも「市町村等」または「県」が実施主体です。
他県には個人が実施主体となる例もあります。たとえば秋田県の県単遊休農地再生利用事業は、実施主体に「認定農業者」「認定新規就農者」「農地所有適格法人」「集落営農組織」等が挙げられています。ただしこれらは営農する立場の要件であり、農地を持っているだけの所有者が当然に該当するものではありません。
所有者が個人で申請する形の制度とは限らないということです。
いずれも一般的な傾向であり、お持ちの土地に当てはまるかどうかは別途の確認が必要です。
確認先は市区町村の農政担当窓口です
補助制度の有無、対象、申請できる人、年度の受付期間は、土地の所在地の市区町村の農政担当窓口が正確な情報を持っています。
横浜市の場合は、みどり環境局農政部農政推進課が農政全般の窓口です。農地の権利関係や利用状況に関することは、土地のある区を管轄する農業委員会が窓口になります。市外の土地については、その所在地の自治体へお問い合わせください。
窓口に相談する際、次の情報が手元にあると話が早く進みます。
- 土地の所在と地番
- 面積
- 現在の状況(何年くらい耕作していないか、草丈、樹木の有無)
- 今後の意向(再び耕作したいのか、貸したいのか、手放したいのか)
最後の「今後の意向」が、使える制度があるかどうかを大きく分けます。 「とりあえず草を刈りたい」なのか「農地として再生させたい」なのかで、対象となる仕組みが変わるためです。
補助が使えない場合に取りうる方向
補助制度の対象にならない場合、次のような方向があります。
| 方向 | 内容 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 実費で業者に依頼する | 造園業者・便利屋・シルバー人材センター等へ委託 | 面積・傾斜・草丈・搬出量で大きく変わる |
| 貸して管理を委ねる | 耕作する人や農地バンクへ貸す | 借り手が付けば管理の負担が移る |
| 手放す | 売却・譲渡・国庫帰属 | 準備に費用と時間がかかる場合がある |
実費で依頼する場合、費用は面積、傾斜の有無、草丈、刈った草を搬出する量によって大きく変わります。事業者ごとの差も大きいため、一律の目安をお示ししていません。複数の事業者から見積りを取ることをおすすめします。料金の提示単位ごとの比べ方は草刈り業者の料金相場と選び方で整理しています。
シルバー人材センターでも草刈り等を受け付けている場合がありますが、受託の条件と料金の構成はセンターごとに異なります。
横浜市シルバー人材センターは、利用料金について「ご利用料金は、会員に支払う配分金のほか、事務費(配分金額の20%)、交通費が含まれています。」と示しています。事務費が配分金額の20%として明示されている点は、他の依頼先と比べるときの材料になります。
出典:公益財団法人横浜市シルバー人材センター「お仕事ご依頼(植木・除草)」(2026年8月13日確認)
同センターには受託できない作業の定めもあります。詳しくはシルバー人材センターの草刈り料金と、断られるケースで整理しています。
貸す場合、農地バンクへ貸し付けた際の課税上の取扱いには特例が設けられていることがありますが、要件や適用年度は変わります。適用の可否は農業委員会または区役所税務課へご確認ください。なお、申し込めばどの農地でも借り受けてもらえるわけではありません。
管理の負担を減らす方法全般については草刈り・管理の負担を減らしたい方へで、荒れた土地への対策全体は耕作放棄地になってしまった土地への対策で整理しています。税負担を含めた考え方は農地を放置すると税金はどうなるのかをご覧ください。
当サイトのご案内について
当サイトでは、業者へ委託される場合、提携する事業者の実費のみをご案内し、手数料を上乗せすることはありません。
また、補助金の申請手続きを代行することもありません。制度の有無と確認先を整理し、必要に応じて窓口や専門家をご案内します。
まとめ
草刈り費用を補助金で賄えるかどうかは、お住まいの自治体の制度と、その土地を今後どうしたいかによって変わります。この一覧に掲載されている事業は「農地として再生・利用する」ことを目的としているため、目的によっては対象外となる場合があります。
正確な情報は市区町村の農政担当窓口が持っています。問い合わせる前に、土地の所在・面積・現況・今後の意向を整理しておくと、話が具体的になります。
窓口に相談する前の整理からお手伝いします
土地の所在・面積・現況を整理し、確認すべき窓口と、補助が使えない場合の選択肢をあわせてお伝えします。ご相談は無料です。
お電話でのご相談: 03-6869-4326(受付 平日10:00〜17:00)
本記事は補助制度の一般的な考え方をご説明するものです。具体的な制度の名称・金額・要件は自治体ごとに異なり、年度によって変わるため記載していません。実際に利用できる制度については、土地の所在地の市区町村の農政担当窓口へご確認ください。作業費用は事業者ごとに異なるため、実際の見積りをご確認ください。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。
よくあるご質問
草刈りの費用に補助金は使えますか。
農地に関する補助制度は「農地として再生・利用する」ことを前提とする仕組みが多く、農地として使う予定がなく草だけ刈りたいという目的では対象外になることがあります。制度の有無は土地の所在地の市区町村の農政担当窓口へご確認ください。
なぜ具体的な補助金の名称を教えてもらえないのですか。
農地に関する補助制度は国・都道府県・市区町村のそれぞれにあり、内容も対象も年度ごとに変わります。名称や金額を記載すると、読まれた時点では変わっている可能性があるため、考え方と確認先の整理に留めています。
個人の所有者でも申請できますか。
支援の対象が地域の農業者の組織や担い手、市町村の取組みとされている仕組みもあります。所有者が個人で申請できるとは限りません。窓口でご確認ください。
窓口に相談するとき、何を伝えればよいですか。
土地の所在と地番、面積、現在の状況(耕作していない期間、草丈、樹木の有無)、そして今後の意向です。とくに今後の意向によって、案内される制度が変わります。
補助が使えない場合はどうなりますか。
実費で業者に依頼する、貸して管理を委ねる、手放すという方向があります。それぞれ費用と時間の考え方が異なります。
横浜市ではどこに聞けばよいですか。
農政全般はみどり環境局農政部農政推進課、農地の権利関係や利用状況に関することは土地のある区を管轄する農業委員会が窓口です。市外の土地はその所在地の自治体へお問い合わせください。









