農地法の解説を読んでも、言葉が難しくて頭に入ってこない。そんな方に向けて、日常の言葉で整理し直した記事です。
農地法は「農地を減らさないこと」と「使う人へ渡すこと」を、同時に進めるための法律です。 転用を止めるためだけの法律ではありません。この2つが目的に併記されているため、手続きが二段構えになっています。
そして、農地は自分の土地であっても、勝手に用途を変えられません。 ここが宅地と最も違う点です。
なぜ農地だけ許可が要るのか
1条が理由を書いています。 長い条文ですが、要点は「限られた資源だから」です。
この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、〔中略〕農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
出典:農地法1条(2026年8月14日確認)
「規制する」と「促進する」が並んでいます。
| 条文の言葉 | 意味 |
|---|---|
| 農地を農地以外のものにすることを規制する | 転用にブレーキをかける |
| 権利の取得を促進する | 使う人へ渡すことは後押しする |
この2つが同じ条文にあるため、「農地のまま渡す」のか「農地をやめる」のかで手続きが分かれます。 前者が3条、後者が4条・5条です。
用語の言い換え

条文の言葉は日常語と違います。 よく出てくるものを並べます。
| 条文の言葉 | かみ砕くと |
|---|---|
| 権利移動 | 売る・貸す・譲る(誰のものか、誰が使うかが変わること) |
| 転用 | 農地を農地以外にすること(宅地・駐車場・資材置場など) |
| 転用目的の権利移動 | 農地以外にする目的で、売る・貸す |
| 採草放牧地 | 農地ではないが、草を刈ったり家畜を放したりする土地 |
| 都道府県知事等 | 都道府県知事、または指定市町村の長(横浜市では市長) |
| 指定市町村 | 転用許可の権限を国から任された市町村 |
| 農業委員会 | 市町村に置かれる、農地の許可・調査を担う組織 |
「等」の一文字が効いています。 農地法の条文にある「都道府県知事等」は、指定市町村では市長を指します。横浜市は指定市町村なので、転用の許可は市長が出します。
勘違い1:自分の土地だから自由にできる
できません。 自分の農地を自分で転用する場合も、農地法4条の許可(市街化区域内は届出)が必要です。
「農地をやめる」こと自体が規制の対象であり、誰の土地かは関係ありません。
勘違い2:登記が「畑」でなければ農地ではない
登記ではなく、現況で判断されます。
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい〔以下略〕
出典:農地法2条1項
登記が「雑種地」でも、耕作していれば農地として扱われることがあります。 逆に登記が「畑」のままでも、現況が違えば扱いが変わることがあります。登記簿を見ただけでは決まりません。
勘違い3:相続したら許可が要る
相続には3条の許可は要りません。 許可を受けて取得するものではないためです。
代わりに、農業委員会への届出があります(農地法3条の3)。届出の実務は農地を相続したら農業委員会へ届出が必要ですで整理しています。
勘違い4:市街化区域なら手続きは要らない
届出が必要です。 横浜市では、市街化区域内の農地は4条・5条の届出、市街化調整区域内は許可という違いになります。
「許可でない=何もしなくてよい」ではありません。
勘違い5:草が生えていれば農地ではなくなる
耕作をやめただけでは、農地の扱いが自動的に外れるわけではありません。 現況で判断されるとはいえ、判断するのは農業委員会です。
荒れている農地には、別の手続き(利用状況調査・利用意向調査)が関わってきます。 放置の影響は農地を放置すると固定資産税はどうなるかをご覧ください。
手続きは3つのどれかに落ちます
| したいこと | 条 | 許可を出すのは |
|---|---|---|
| 農地のまま売る・貸す | 3条 | 農業委員会 |
| 自分の農地を自分で転用する | 4条 | 都道府県知事等(横浜市は市長) |
| 転用する目的で売る・貸す | 5条 | 都道府県知事等(横浜市は市長) |
どれに当たるかの判定は農地法3条・4条・5条はどれに当たるか、条文の全体像と罰則は農地法とは|3条・4条・5条の違いと、違反したときの効果で整理しています。
手続きの前に、土地の条件を確認します
条が決まっても、その土地で許可がおりるかは別の話です。
- 区域区分(市街化区域か、市街化調整区域か)
- 農用地区域に入っているか(通称「青地」)
- 農地区分
2に当たると、転用の前に農用地区域から外す手続きが必要になります。 eMAFF農地ナビに公表されている横浜市の農地32,259筆のうち、35.0%(11,283筆)が農用地区域内でした(2026年8月13日取得。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。詳しくは農地の「青地」「白地」とはをご覧ください。
よくあるご質問
農地法は何のための法律ですか。
農地法1条は、農地を農地以外にすることを規制すること、権利の取得を促進すること、利用関係を調整すること、農業上の利用を確保することを挙げ、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としています。規制と促進が併記されている点が特徴です。
自分の農地なら自由に使えますか。
いいえ。自分の農地を自分で転用する場合も、農地法4条の許可(市街化区域内の農地は届出)が必要です。
登記の地目が「畑」でなければ農地ではないのですか。
登記ではなく現況で判断されます。農地法2条1項は「耕作の目的に供される土地」と定めています。登記簿を見ただけでは決まりません。
相続した場合も許可が要りますか。
3条の許可は要りません。許可を受けて取得するものではないためです。代わりに農地法3条の3による農業委員会への届出があります。
市街化区域なら手続きは不要ですか。
届出が必要です。横浜市では、市街化区域内の農地は4条・5条の届出、市街化調整区域内は許可という違いになります。
耕作をやめれば農地でなくなりますか。
自動的に外れるわけではありません。現況で判断されますが、判断するのは農業委員会です。荒れている農地には利用状況調査などの別の手続きが関わります。
ご相談について
どの条に当たるか分からない段階でもご相談いただけます。 地番と現況写真をお送りいただければ、確認すべき窓口と順序を整理します。
無料の一次診断からお申し込みいただけます。手続きの全体像は農地を転用したい方へをご覧ください。









