使っていない農地の固定資産税を、この先も払い続けるのだろうか。放置と税金の関係が気になっている方に向けた記事です。
放置しただけで税額が上がるわけではありません。 ただし、遊休農地のうち農地中間管理機構との協議を勧告され、翌年1月1日時点で撤回されていないものは、評価の際に用いる限界収益修正率0.55が適用されず、評価額がおよそ1.8倍になります。
この措置の対象は農業振興地域内の農地です。 eMAFF農地ナビに公表されている横浜市の農地32,259筆のうち、35.0%が農用地区域内(青地)でした。 面積・区別・地目の内訳はeMAFF公表分32,259筆の集計にまとめています。 青地・白地の違いと除外の要件は農地の「青地」「白地」とはで整理しています。
反対に、免税点を下回って課税されていない土地もあります。 使っていないのに払っている、と感じる前に、何にいくら課されているかの確認から始まります。
個別の税額計算や有利不利の判断は税理士の領域であり、当サイトでは行いません。
使っていないのに払い続けている、という状態
耕作していない。貸してもいない。それでも毎年、固定資産税の納税通知書が届く。金額そのものは大きくなくても、使っていない土地に払い続けるのは割り切れないものです。
ここでは制度の一般的な考え方を整理します。個別の税額計算、節税の方法、どちらが有利かといった判断は税理士の領域であり、当サイトでは行いません。
農地の評価は宅地より低くなる仕組みです
固定資産税は、土地の評価額をもとに算定されます。農地の評価には、宅地とは異なる考え方が用いられています。
一般農地の評価では、農地としての収益性を基礎とした価格が用いられ、そこに「限界収益修正率」と呼ばれる0.55を乗じる扱いがあります。農地の売買には特殊性があるため、その分を調整するという趣旨です。
この仕組みがあるため、同じ面積でも農地の固定資産税は宅地に比べて低く抑えられています。「使っていないのに税金が高い」という感覚と、実際の金額の水準にはずれがあることもあります。
なお、市街化区域内の農地は、一般農地とは異なる評価・課税の扱いになる場合があります。お持ちの土地がどちらに当たるかによって考え方が変わります。
遊休農地には課税上の取扱いが変わる仕組みがあります

ここが放置との関係で重要な点です。
農地には農業委員会による利用状況調査が毎年行われています。耕作されていない、あるいは十分に利用されていないと判断された農地については、所有者に対して利用意向調査が行われ、状況が改善しない場合には農地中間管理機構との協議を勧告することがあります。
農業振興地域内にある遊休農地のうち、この協議の勧告を受け、翌年1月1日の時点でも勧告が撤回されていない農地については、先ほどの限界収益修正率0.55が適用されません。
対象が「農業振興地域内」に限られる点が重要です。 当サイトでeMAFF農地ナビの公表データ(横浜市内 32,259筆)を集計したところ、農振法区分が農用地区域内(青地)の農地は35.0%、設定なしが65.0%でした。公表されている農地のうち、およそ3件に1件が、この措置の対象となり得る区域にあります。
ご自身の農地がどちらかは、eMAFF農地ナビまたは管轄の農政事務所で確認できます。調べ方は自分の農地の地番・場所が分からないときの調べ方で整理しています。
集計は公表分に限られ、市街化区域内の農地は含まれません(出典:eMAFF農地ナビ 公表データ、2026年8月13日取得)。
その結果、固定資産税の評価額が、通常の農地と比べておよそ1.8倍(1÷0.55≒1.8181)になる仕組みです。この措置は平成28年度の税制改正で導入され、平成29年度から適用されています。
実際の税額は課税標準額などによって決まるため、評価額が1.8倍になれば税額もそのまま1.8倍になるとは限りません。個別の金額は納税通知書と課税明細書、または区役所税務課へご確認ください。
反対に、農地バンクへ貸し付けた場合の課税上の取扱いには特例が設けられていることがあります。要件や適用年度は変わるため、適用対象や手続きは農業委員会や区役所税務課へご確認ください。
転用すると評価が変わる場合があります
農地を農地以外の用途に転用すると、その土地は農地としての評価ではなくなります。転用後の状況に応じた評価に変わるため、税負担の水準も変わる場合があります。
「資材置場にすれば収益が出る」という話を検討する際には、収入だけでなく、評価が変わることによる負担の変化も含めて考える必要があります。
ただし、転用後にどの評価区分となり、税額がいくらになるかは、土地の状況や自治体の取扱いによって異なります。この点の試算は税理士または自治体の税務担当にご確認ください。 当サイトでは個別の試算は行いません。
農地転用そのものの可否については、区域区分と農地区分によって変わります。市街化調整区域の農地をお持ちの方へ、および市街化調整区域の農地を手放したいと考えたときに確認することで整理しています。
課税明細に載っていない農地があることがあります
固定資産税には免税点という仕組みがあります。横浜市の場合、同一区内で同一の人が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満であれば、土地に対する固定資産税は課税されません。
課税されていない土地について、納税通知書からは把握できないことがあります。 通知書だけを見て所有する不動産の全体を把握したつもりになると、抜けが残る可能性があります。
確認の方法として、固定資産が所在する区の区役所税務課へ名寄帳や固定資産課税台帳を請求する方法があります。記載される範囲、必要書類、手数料は自治体によって異なりますので、請求の前にご確認ください。
なお、横浜市では同一区内で判定されるため、複数の区に土地をお持ちの場合は区ごとの判定になります。
税負担を含めて、土地の扱いを整理するという考え方
税金だけを見て判断すると、視野が狭くなります。実際には次の要素が絡み合います。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税 | 毎年の負担。遊休農地の措置により変わる場合がある |
| 管理費用 | 草刈り・巡回。面積と状態で変わる |
| 近隣への影響 | 越境・不法投棄などの対応 |
| 将来の手続き費用 | 相続登記、測量、境界確定など |
| 手放す場合の費用 | 国庫帰属の審査手数料・負担金など |
「税金が安いから持ち続ける」という判断も、「税金がかかるから手放す」という判断も、他の要素を含めて見ないと妥当性が判断できません。
荒れた状態からの対策全体は耕作放棄地になってしまった土地への対策で、管理の負担を減らす方法は草刈り・管理の負担を減らしたい方へで整理しています。
まとめ
農地の固定資産税は宅地より低く評価される仕組みがある一方、遊休農地として一定の要件に該当すると、評価上の調整が適用されなくなる仕組みがあります。転用すれば評価の考え方自体が変わります。
個別の税額や、どの選択が有利かは、税理士にご確認ください。当サイトでは、税負担も含めて土地の扱いを考えるための材料として、名義・区域・現況の整理をお手伝いします。
税額そのものではなく、土地の条件から整理します
名義・区域・現況を確認し、管理を続ける場合と手放す場合に何が必要になるかを無料で整理してお伝えします。税務の個別判断は税理士へおつなぎします。
お電話でのご相談: 03-6869-4326(受付 平日10:00〜17:00)
本記事は税制の一般的な考え方をご説明するものです。個別の税額計算、節税の方法、選択肢の有利不利の判断は税理士の業務であり、当サイトでは行いません。実際の税額は納税通知書・課税明細書、または土地の所在地の自治体税務担当にご確認ください。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。税制は改正される場合があります。
よくあるご質問
農地を放置すると固定資産税は上がりますか。
放置しただけで上がるわけではありません。農業委員会の利用状況調査を経て、農地中間管理機構との協議を勧告され、翌年1月1日時点で勧告が撤回されていない農業振興地域内の遊休農地について、限界収益修正率0.55が適用されなくなり、評価額がおよそ1.8倍になる仕組みです。
評価額が1.8倍になると、税額も1.8倍ですか。
そうとは限りません。実際の税額は課税標準額などによって決まります。個別の金額は納税通知書と課税明細書、または区役所税務課へご確認ください。
自分の農地が対象区域か分かりません。
この措置の対象は農業振興地域内の農地です。eMAFF農地ナビまたは管轄の農政事務所で農振法区分を確認できます。同ナビに公表されている横浜市の農地では、農用地区域内(青地)が35.0%でした(2026年8月時点。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。
使っていないのに毎年払っています。安くなりませんか。
農地バンクへ貸し付けた場合の課税上の取扱いには特例が設けられていることがあります。要件や適用年度は変わるため、適用対象や手続きは農業委員会や区役所税務課へご確認ください。
納税通知書に載っていない土地があるようです。
横浜市では、同一区内で所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満であれば課税されません(横浜市市税条例43条)。課税されていない土地は通知書から把握できないことがあるため、名寄帳や登記情報でも確認してください。
資材置場にすれば税金は安くなりますか。
転用すると農地としての評価ではなくなり、負担の水準が変わる場合があります。安くなるとは限りません。試算は税理士または自治体の税務担当へご確認ください。
本記事は制度の一般的な内容をご説明するものです。個別の税額計算、節税の可否、有利不利の判断は行っていません。税務の個別のご相談は税理士へお願いします。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。









