農地転用とは、農地を農地以外のものにすることです。田や畑を住宅敷地、駐車場、資材置場、太陽光発電設備の敷地などに変える行為が当たります。所有者が自分で転用するなら農地法4条、売買や賃貸を伴うなら5条の手続が必要です。 どの条の手続きになるかは農地法とは|3条・4条・5条の違いをご覧ください。 はじめて調べる方は農地法をわかりやすく|なぜ許可が要るのかをご覧ください。 3類型の判定表とケース別の当てはめは農地法3条・4条・5条をご覧ください。
そして重要な点が1つあります。登記簿の地目が「畑」でなくても、現況が農地であれば農地法の対象になります。 この記事では、何が「農地」に当たるのか、4条と5条はどう違うのか、無許可で進めるとどうなるのかを、条文にもとづいて整理します。
「農地」は登記の地目ではなく、現況で判断されます
農地法は「農地」を次のように定義しています。
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
出典:農地法(e-Gov法令検索)第2条第1項(2026年8月12日確認)
条文にあるのは「耕作の目的に供される土地」であって、「登記簿の地目が田または畑である土地」ではありません。このため、登記の地目と実際の扱いがずれることがあります。
- 登記の地目が「畑」でも、宅地として長く使われていれば農地に当たらない場合があります
- 逆に登記の地目が「雑種地」でも、実際に耕作していれば農地として扱われる場合があります
- 耕作をやめて雑草が生えているだけでは、農地でなくなったことにはなりません
最後の点は誤解されやすいところです。何年も放置していても、それだけで自由に使える土地になるわけではありません。判断は農業委員会が行います。登記との関係は農地転用と地目変更の関係【登記はいつ変わるか】で整理しています。
農地法は、農業生産の基盤である農地を守り、計画的に利用するため転用を規制しています。造成や利用開始を先に行わず、土地の所在地と具体的な用途を決めて農業委員会へ相談することが出発点です。
用途のうち太陽光発電設備については、農地全体を転用する方式と営農を続ける営農型とで手続が分かれます。農地の太陽光発電と農地転用の関係で整理しています。
4条と5条は、権利が動くかどうかで分かれます
分かれ目は「誰が転用するか」です。土地の権利が動かないなら4条、動くなら5条と考えると整理できます。
| 農地法4条 | 農地法5条 | |
|---|---|---|
| 場面 | 所有者が自分で転用する | 売買・賃貸などで権利を移し、相手が転用する |
| 例 | 自分の畑を自分の駐車場にする | 買主が住宅を建てる目的で農地を取得する |
| 申請する人 | 転用を行う者(農地所有者) | 譲渡人(農地所有者)および譲受人(転用者)の共同申請 |
5条について、条文は次のように定めています。
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの〔中略〕にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。
出典:農地法第5条第1項(2026年8月12日確認)
「当事者が」とあるとおり、5条は売主と買主の双方が申請者になります。 片方だけでは進みません。転用して売却する計画では、契約条件と許可の順序を慎重に組み立てる必要があります。農地を宅地にするには|4条と5条の分かれ道で詳しく確認できます。
費用を誰が負担するかは法律で定められておらず、当事者間の取り決めによります。農地転用の費用はいくらかかるかで整理しています。
許可を受けずに進めると、その行為は効力を生じません
農地法は、許可を受けないでした行為について次のように定めています。
第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
これは3条6項の定めで、5条3項によって転用目的の権利移動にも準用されます。契約書を交わしていても、許可がなければその権利移動は効力を持ちません。 先に契約や工事を進めてしまうと、後戻りできない事態になり得ます。
横浜市では区域により許可と届出が違います
横浜市の案内では、市街化区域内の農地は4条または5条の届出です。市街化調整区域内の農地は4条または5条の許可申請となります。市街化区域は市街化を進める区域、市街化調整区域は市街化を抑える区域です。後者では農地法だけでなく、建築や開発についても制約があります。市街化調整区域の土地活用も併せて確認してください。
市街化調整区域の申請は農業委員会へ提出します。農業委員会は立地基準と一般基準に照らした意見を付け、許可権者である横浜市長の担当部署へ書類を送ります。窓口へ出せば許可されるという仕組みではありません。
許可では土地の場所と計画内容を確認します
立地基準では、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地など、農業上守る必要性が高い農地ほど転用が厳しくなります。一般基準では、転用目的を実現できるか、資金や権利の準備があるか、周辺農地へ土砂流出や排水などの支障を生じさせないかを確認します。転用できない土地の考え方も参考になります。
農業振興地域の農用地区域、一般に「青地」と呼ばれる区域では、農地転用の前に農用地区域からの除外が必要となる場合があります。除外には別の要件と審査があり、除外できるとは限りません。 青地・白地の違いと除外の要件は農地の「青地」「白地」とはで整理しています。
相談から利用開始までの流れ
まず地番、登記事項証明書、公図、現況写真を用意し、区域区分と農用地区域への該当を確認します。次に用途、配置、出入口、排水、資金の計画を具体化し、農業委員会と関係部署へ事前相談します。他法令の許可が見込めない計画は、農地転用の一般基準でも問題になる可能性があります。
必要書類を整えて届出または許可申請を行い、受理または許可後に工事へ進みます。実際に土地の用途が変わった後は、登記簿の地目を現況に合わせる地目変更登記が必要となる場合があります。転用許可と地目変更の違いを確認してください。
相談時は「誰が・何に使うか」を伝える
農業委員会への相談では、地番だけでなく、所有者と転用する人、用途、利用する範囲、工事内容、開始希望時期を伝えます。売買を伴うのか、所有者が自分で使うのかによって4条と5条が分かれます。土地の一部だけを転用する場合は、範囲が分かる図面も用意します。
許可または届出には、農地法以外の許認可を代替する効果はありません。住宅、倉庫、駐車場など目的ごとに、都市計画、建築、道路、排水の確認先が変わります。各部署の見解が食い違わないよう、同じ配置図と利用計画を使って相談することが大切です。
相続した農地では、登記上の所有者と申請者の関係も確認します。共有者がいる場合は、計画を進める前に意向をそろえます。資料が不足していても、分かる範囲を一覧にすれば、次に取得する書類を農業委員会へ確認しやすくなります。
よくあるご質問
登記の地目が「畑」ですが、何十年も使っていません。農地ですか。
使っていない期間の長さだけでは決まりません。農地法は「農地」を耕作の目的に供される土地と定めており、判断は農業委員会が現況などを踏まえて行います。雑草が生えているだけで農地でなくなるわけではありません。
登記の地目が「雑種地」なら手続は不要ですか。
不要とは限りません。条文の定義は登記の地目ではなく現況を基準にしているため、実際に耕作していれば農地として扱われる場合があります。
自分の土地を自分で使うだけでも許可が要りますか。
農地を農地以外のものにするなら、所有者本人であっても農地法4条の手続が必要です。市街化区域内の農地であれば、許可ではなく農業委員会への届出になります。
契約だけ先に済ませておけますか。
おすすめできません。農地法は許可を受けないでした行為について「その効力を生じない」と定めており、5条にも準用されます。契約と許可の順序は専門家に確認しながら組み立ててください。
一部だけを転用できますか。
土地の一部を転用する申請は可能ですが、範囲が分かる図面が必要になります。分筆が必要かどうかを含めて、事前に農業委員会へご相談ください。
農地転用の許可が出れば建物を建てられますか。
農地法の許可は、他の法律の許認可を代替しません。市街化調整区域では都市計画法上の開発許可・建築許可を別に確認する必要があります。
転用できるかどうかの絞り込みの順序と、横浜市で申請から許可までにかかる期間は農地を転用したい方へで整理しています。
土地ごとに必要な手続が異なります。無料一次診断では、地番と希望用途から確認事項を整理します。









