農地バンク・JAで対応してもらえなかった土地はどうするか

農地バンク・JAで対応してもらえなかった土地はどうするか

農地バンクやJAに相談したものの、対応してもらえなかった。そこで行き止まりに感じている方に向けて、次に確認できることをまとめました。

断られたら、まず理由を窓口へ確認してください。 地域計画の問題なのか、営農条件なのか、権利関係なのかで、次に取る手が変わります。そのうえで、次の順に候補を見ていきます。

  1. 農地法3条許可による貸借
  2. 農作業の受委託
  3. 転用の検討 3条・4条・5条の違いは農地法とはで整理しています。

断られること自体は、制度上あり得ます。 農林水産省は次のように明記しています。

ただし、地域計画外の農地である場合や、営農条件が悪い農地である場合等、農地バンクが遊休農地を借り受けられない場合もございますのでご了承ください。

出典:農林水産省「農地中間管理機構に関するよくあるご質問」(2026年8月13日確認)

ここで挙げられているのは、地域計画に位置付けられているか、営農条件はどうか、という制度側の条件です。 まずどの条件が合わなかったのかを確認するところから始まります。

目次

対応が難しいのは制度の目的と条件があるため

農地バンクは、都道府県知事が指定する農地中間管理機構です。所有者などから農地を借り受け、地域計画に位置付けられた担い手などへ貸し付け、農地の集積・集約化を進めます。農地を一時的に預かる一般的な保管サービスではありません。

そのため、所有者が貸したいと希望しても、すべての土地を借り受ける仕組みではありません。農林水産省は、借り受けられない場合の例として「地域計画外の農地である場合」「営農条件が悪い農地である場合」を挙げています。

JAも地域農業を支える役割を持ちますが、農地バンクと同じ機関ではなく、業務や対応範囲は地域で異なります。「断られた」と感じる回答でも、土地に価値がないと決められたわけではありません。まず、どの条件が合わなかったのかを確認します。

理由を聞くと次の調査が見える

農地バンクに断られた理由ごとに次に確認することを示した図。借り手が見込めない場合は隣接農家の意向と地域計画の見直し時期、農地の状態(営農条件)が理由の場合は進入路・雑草・残置物・排水のうち改善できる項目、権利関係が未整理の場合は相続登記と共有持分の状況、地域計画外の区域の場合は農地法3条許可による貸借が使えるか

回答を受けた窓口に、取り扱いが難しい理由を具体的に確認します。理由によって次の手が変わります。

断られた理由次に確認すること
借り手が見込めない隣接農家の意向、地域計画の見直し時期(農業委員会)
農地の状態(営農条件)進入路、雑草、残置物、排水のうち改善できる項目
権利関係が未整理相続登記、共有持分の状況(下記の仕組みも参照)
地域計画外の区域農地法3条許可による貸借が使えるか(農業委員会)

改善しても受け手が現れるとは限らないため、先に負担と見通しを確認してください。

参考として、eMAFF農地ナビに公表されている横浜市の農地32,259筆のうち、賃借権等の設定がないものが93.2%でした(2026年8月13日取得。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。賃借権は1,575筆、使用貸借権は611筆です。貸借が設定されている農地は、公表されている中では少数という状況です。 面積・区別・地目の内訳はeMAFF公表分32,259筆の集計にまとめています。

権利の問題は、制度側に受け皿が用意されています。

農林水産省は、地域計画に位置付けられた者が共有状態にある農地を借りようとする場合について、1/2を超える共有持分を有する者の同意が得られていれば農地バンクが借り受けることは可能である、としています。さらに、共有者が1/2以下であっても、共有者のうち一人でも分かっていれば、農業委員会の探索・公示(2か月)の手続きを経て農地バンクが借り受けできる仕組みが用意されている、とも示しています。

所有者が不明な遊休農地についても、農業委員会による探索・公示(2か月)、農地バンクによる知事への裁定申請、知事の裁定・公告という経路があります。

「共有だから無理」「相続人が分からないから無理」と決める前に、この仕組みを農業委員会または農地バンクへご確認ください。 共有名義の整理は共有名義の農地で起きる問題と整理の進め方をご覧ください。

農地のまま使う別の可能性を確認する

制度改正により、令和7年(2025年)4月から農地バンクを経由した方法に一本化されました。ただし農林水産省は「農地法第3条許可による手法は引き続き利用可能です」としています。特定の農業者が利用を希望している場合など、どの手続が使えるかを農業委員会へ確認します。

農作業の受委託という方法もあります。農林水産省は「農作業受託により地域計画を達成しようとする場合には、農地バンクは当該農作業の受委託を取り扱うことができます」としています。ただし同省は「農地バンクが取り扱う農作業については、各農地バンクの判断になりますが、将来的に貸借に移行することが見込まれる「特定農作業受託」又は「基幹三作業以上の受託」が基本と考えています」ともしています。

契約の形が貸借に当たるかどうかは、実際の利用内容によって判断されます。 どの形になるかは農業委員会へご確認ください。

市民農園などの利用も、自由に区画して貸せるわけではありません。開設方法に応じた法律上の手続があります。思いついた用途へ先に造成せず、農政担当や農業委員会へ相談します。

転用の可能性は区域と用途から調べる

農地として受け手が見つからない場合、農業以外の用途を検討することがあります。ただし、農地転用には許可・届出が必要です。農用地区域、農地の区分、周辺農業への影響などにより、転用が難しい土地もあります。

さらに、市街化調整区域では建築や開発が制限されます。市街化調整区域の土地活用を確認し、農地転用と都市計画法の両方を調べます。資材置場や駐車場であれば何でも認められる、という扱いではありません。

転用後の賃貸や取引が具体化した場合は、提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。行政手続の書類作成は行政書士、境界は土地家屋調査士など、論点ごとに専門家を使い分けます。

次の相談まで管理を止めない

活用方針が決まるまでにも、雑草、枯れ草、不法投棄への対応は必要です。管理を止めると、耕作再開の負担が増え、周辺への影響が生じる可能性があります。定期巡回と草刈りを続け、現況写真を残します。

相談用には、地番一覧、登記事項証明書、公図、現地写真、農地バンクやJAから聞いた理由をまとめます。「対応不可」という結果だけでなく、判断の前提が分かれば、同じ確認を繰り返さずに済みます。

農地としての利用、転用可能性、当面の管理を一つずつ整理したい方は、土地の条件を確認する無料一次診断をご利用ください。土地の改善を検討する際は、借り手が決まる前に大きな造成や設備投資を進めないよう注意します。雑草の除去や投棄物の撤去など管理上必要な作業と、貸付けのための条件整備を分けます。どの改善が受け手の判断に影響するか、農業委員会や農地バンクへ確認してから順序を決めます。

よくあるご質問

農地バンクに断られました。制度上あり得ることですか。

あり得ます。農林水産省は「地域計画外の農地である場合や、営農条件が悪い農地である場合等、農地バンクが遊休農地を借り受けられない場合もございます」と明記しています。

荒れている農地でも借りてもらえますか。

農林水産省は「遊休農地であっても、草刈り等の簡易な整備を行うことで耕作する者が位置付けられる場合は、農地バンクが出し手から当該農地を借り受けて、簡易な整備を行った上で、受け手に貸し付けることができます」としています。ただし上記の除外もあります。

共有名義でも預けられますか。

地域計画に位置付けられた者が共有状態にある農地を借りようとする場合について、農林水産省は、1/2を超える共有持分を有する者の同意が得られていれば農地バンクが借り受けることが可能としています。1/2以下でも、共有者のうち一人でも分かっていれば、農業委員会の探索・公示(2か月)を経て借り受けできる仕組みがあるとされています。

農地バンク以外に貸す方法はありますか。

令和7年4月から農地バンク経由に一本化されましたが、農林水産省は「農地法第3条許可による手法は引き続き利用可能です」としています。どの手続きが使えるかは農業委員会へご確認ください。

賃料はどう決まりますか。

農林水産省は「農業委員会が提供する借賃情報等を参考に、出し手、受け手と農地バンクの三者が協議して決める」としています。

断られた後、何もしなくてよいですか。

方針が決まるまでの間も、雑草・枯れ草・不法投棄への対応は必要です。管理を止めると耕作再開の負担が増えます。農地の草刈り・管理の負担を減らしたい方へもご覧ください。

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この記事を書いた人

横浜市周辺の農地・市街化調整区域の土地について、国や自治体が公表している情報をもとに、所有者の方がまず確認すべきことを整理して発信しています。登記・許認可・測量・税務・売買の各手続きは、それぞれの分野の専門家と連携して進めます。

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