農地を相続したら農業委員会へ届出が必要です(農地法3条の3)

農地を相続したら農業委員会へ届出が必要です(農地法3条の3)

農地を相続したら届出が要ると聞いたものの、どこへ何を出せばよいのか分からない。農業委員会への届出についてまとめた記事です。

農地を相続したら、法務局への相続登記とは別に、農業委員会への届出が必要です。 根拠は農地法3条の3で、届出をしないと10万円以下の過料の対象となります。 条文の全体像は農地法とは|3条・4条・5条の違いで整理しています。 用語の意味とよくある勘違いは農地法をわかりやすくで整理しています。 どれに当たるかの判定は農地法3条・4条・5条はどれに当たるかで整理しています。

期限については、情報源によって案内が分かれています。 条文は「遅滞なく」、農林水産省は「おおむね10か月以内」、横浜市中央農業委員会は「特に定めはありません」としています。

横浜市には実務上の注意もあります。相続登記が完了してから、窓口へ持参して提出します(郵送不可)。

目次

届出の根拠と過料

農地法3条の3は次のとおりです。

農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合〔中略〕を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

相続、遺産分割、包括遺贈などによる取得が対象です。売買や通常の貸借と違い、相続は農地法3条の許可を受けて発生するものではありません。 その代わりに、取得後の届出が設けられています。

同法69条は「第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する」と定めています。

期限の案内が分かれています

ここが実務上まぎらわしい点です。 3つの情報源で表現が異なります。

農地法3条の3の届出期限について3つの情報源で案内が分かれていることを示した図。条文は「遅滞なく」、農林水産省の周知資料は「相続発生日からおおむね10か月以内」、横浜市中央農業委員会のFAQは「特に定めはありません」
情報源期限の表現
農地法3条の3(条文)遅滞なく
農林水産省(周知資料)相続発生日からおおむね10か月以内
横浜市中央農業委員会(FAQ)相続の日から届出までの期日は特に定めはありません

出典:農林水産省「農地を相続したときは、届出が必要です」横浜市中央農業委員会 FAQ(いずれも2026年8月13日確認)

期日の定めがないという案内は、届出が不要という意味ではありません。 届出義務そのものは条文にあり、過料の定めもあります。

横浜市の農地について実際に手続きを進める場合は、管轄の農業委員会の案内に従いつつ、先延ばしにしないという整理が現実的です。 判断に迷う場合は管轄の農業委員会へ直接ご確認ください。

相続登記とは別の手続きです

農業委員会への届出は、農地の権利を取得した事実を農業委員会へ知らせる手続きです。相続登記は、不動産の所有者を登記簿へ反映する法務局の手続きです。

相続登記農地法3条の3の届出
提出先法務局農地の所在地の農業委員会
期限取得を知った日から3年以内上表のとおり案内が分かれる
怠った場合10万円以下の過料10万円以下の過料

どちらか一方を行えば、もう一方が不要になるわけではありません。 届出書を提出しても登記名義は変わりませんし、相続登記が完了しても届出をしたことにはなりません。

農林水産省の周知資料も「本届出は、法務局への相続登記とは別に必要な手続です」と明記しています。相続登記の進め方は農地の相続で名義変更(相続登記)を進める手順で整理しています。

横浜市での提出方法

横浜市中央農業委員会は、次のように案内しています。

  • 相続登記が完了してから、届出書・必要書類を農業委員会窓口へ持参して提出する
  • 郵送は不可
  • 対象は現況が農地のものに限る

「登記が終わってから」「持参のみ」という2点は、段取りに影響します。 相続登記に時間がかかる場合、届出はその後になります。遠方にお住まいの場合、来庁の予定を組む必要があります。

窓口の開庁時間は、午前8時45分から正午まで、および午後1時から午後5時までです(土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始12月28日〜1月3日を除く)。

管轄は農地の所在地で決まります

横浜市の農業委員会は2つあり、自宅の住所ではなく、相続した農地の所在で決まります。

農業委員会管轄区電話
横浜市中央農業委員会鶴見・神奈川・保土ケ谷・旭・港北・緑・青葉・都筑(計8区)045-948-2475
横浜市南西部農業委員会上記以外の区045-866-8495

中央農業委員会の窓口は都筑区総合庁舎4階(43番窓口)です。

農地が複数の市町村にある場合は、それぞれの所在地の農業委員会が届出先になります。 横浜市外の農地を横浜市の窓口へまとめて届ける手続きではありません。

届出前にそろえる情報

  1. 相続した農地の所在・地番・地目・面積を一覧にする
  2. 固定資産税の納税通知書だけで判断せず、登記事項証明書と照合する
  3. 共有で相続した場合は、各人の持分を確認する
  4. 被相続人の氏名、死亡日、権利を取得した日、取得原因を確認する

農林水産省の様式例には、農業委員会によるあっせん等の希望を記載する欄があります。 自分で耕作できない場合、これが相談のきっかけになります。

同省の周知資料も、相続したものの地元を離れていて管理ができない場合には、農業委員会が管理の相談や借り手を探す手伝いをすると案内しています。届出は義務であると同時に、相談の入口でもあります。

書類の記載方法に迷ったときは、訂正方法を含めて提出前に担当窓口へご確認ください。行政書士へ書類作成を依頼する場合、報酬は事務所ごとに異なります。

届出後の売却・貸借・転用は別手続き

農地法3条の3の届出は、相続後の売却、貸借、転用を認める手続きではありません。

  • 農地のまま他の農業者へ貸す場合 — 農地バンクを通じる方法や農地法3条の手続き
  • 売買 — 買主の要件を含む農地法上の確認が必要
  • 駐車場、資材置場、宅地などへの用途変更 — 農地転用の手続き

市街化調整区域では都市計画法上の制限も重なるため、農地転用だけで利用の見通しを決めないでください。 転用の全体像は農地を転用したい方へ|横浜市での進め方、貸す方向は農地を貸したいときの選択肢と手順で整理しています。

よくあるご質問

農地を相続したら、いつまでに届け出ればよいですか。

案内が分かれています。農地法3条の3の条文は「遅滞なく」、農林水産省は相続発生日からおおむね10か月以内、横浜市中央農業委員会は「相続の日から届出までの期日は特に定めはありません」としています。管轄の農業委員会へご確認のうえ、先延ばしにしないことをお勧めします。

届け出ないとどうなりますか。

農地法69条により、届出をせず、または虚偽の届出をした場合は10万円以下の過料に処するとされています。

相続登記をすれば届出は不要ですか。

いいえ。提出先も目的も別の手続きです。農林水産省も「本届出は、法務局への相続登記とは別に必要な手続です」と明記しています。

郵送で提出できますか。

横浜市中央農業委員会は郵送不可とし、窓口へ持参するよう案内しています。また相続登記が完了してからの提出とされています。

どちらの農業委員会に出しますか。

農地の所在地で決まります。横浜市では、鶴見・神奈川・保土ケ谷・旭・港北・緑・青葉・都筑の8区が中央農業委員会、それ以外の区が南西部農業委員会の管轄です。

耕作できないのですが、届出のときに相談できますか。

農林水産省の様式例にはあっせん等の希望を記載する欄があり、同省は農業委員会が管理の相談や借り手探しを手伝うと案内しています。届出の機会にご相談ください。

提出後にしておくこと

届出書を提出した後は、受付日が分かる控えや記録を保管してください。 家族が後から手続状況を確認できるよう、相続登記の書類とは分けて「農業委員会届出」と表示しておくと分かりやすくなります。農地ごとに管轄や提出日が違う場合は、地番の一覧へ書き添えてください。

相続農地の手続きと今後の管理・活用をまとめて整理したい方は、農地を相続された方へをご覧のうえ、無料一次診断をご利用ください。

本記事は制度の一般的な内容をご説明するものです。届出の要否や必要書類は個別の事情により異なります。最終的な確認は管轄の農業委員会へお願いします。当サイトは届出の代理を行いません。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。

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この記事を書いた人

横浜市周辺の農地・市街化調整区域の土地について、国や自治体が公表している情報をもとに、所有者の方がまず確認すべきことを整理して発信しています。登記・許認可・測量・税務・売買の各手続きは、それぞれの分野の専門家と連携して進めます。

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