転用の許可が出れば、登記の地目も自動で変わるのだろうか。転用と地目変更の関係が分からない方に向けた記事です。
農地転用の許可を受けても、登記簿の地目は自動では変わりません。登記が変わるのは、工事が終わって現況が実際に変わり、自分で地目変更登記を申請したときです。 農地法の手続きと不動産登記の手続きは別で、窓口も農業委員会と法務局に分かれています。
そして見落とされやすいのが期限です。不動産登記法37条1項は、地目に変更があった日から1か月以内の申請を義務づけており、怠ると10万円以下の過料の対象とされています(同法164条1項)。
起算点は「許可を受けた日」ではなく「地目に変更があった日」です。地目は土地の主な用途から判断されるため(不動産登記規則99条)、いつ変更があったといえるかは、その土地の利用状態によって決まります。
農地転用と地目変更は別の手続です

| 農地転用(4条・5条) | 地目変更登記 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 農地法 | 不動産登記法37条 |
| 窓口 | 農業委員会 | 法務局 |
| 対象 | これから農地以外に使うこと | すでに変わった現況を登記に反映すること |
| 期限 | 手続きの種類による | 変更があった日から1か月以内(2026年8月時点) |
| 怠った場合 | 農地法上の措置 | 10万円以下の過料(同法164条1項、2026年8月時点) |
| 依頼先 | 行政書士 | 土地家屋調査士 |
農地転用は、田や畑を農地以外に使うための農地法上の手続です。横浜市では、市街化区域内は農地法4条・5条の届出、市街化調整区域内は許可申請となります。窓口は農業委員会です。 農地法そのものの仕組みは農地法の許可は3種類で整理しています。
地目変更登記は、土地の現況が変わったときに登記記録の地目を現況へ合わせる不動産登記の手続です。窓口は法務局です。農地転用の許可証が交付されても、その時点で登記簿の「畑」「田」が自動的に「宅地」や「雑種地」へ変わるわけではありません。
申請には期限があります
不動産登記法37条1項は次のとおりです。
地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
同法164条1項により、正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料の対象とされています。
相続登記(3年以内)とは期限が大きく違います。 起算点は「地目に変更があった日」であり、いつがその日に当たるかは土地の利用状態によります。判断に迷う場合は、法務局または土地家屋調査士へご確認ください。
なお同条2項により、地目の変更後に所有権の登記名義人となった者は、その登記があった日から1か月以内に申請することとされています。
許可は予定、登記は現況を確認します
転用許可や届出は、申請した計画に従って農地以外へ利用することを認める手続です。一方、地目は土地の主な用途から判断されます。 不動産登記規則99条は次のとおり定めています。
地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。
23種類が列挙されており、この中から現況に当たるものを選びます。 駐車場や資材置場は「雑種地」、建物の敷地は「宅地」に当たることが一般的です。許可を受けただけで工事が始まっていない土地は、まだ農地の状態であることがあります。
造成が終わり駐車場として使える状態になった、建物の敷地として利用される状態になったなど、現況が変わってから地目変更を申請します。どの時点で、どの地目に当たるかは土地の利用状態で異なります。必要な添付書類は申請先によって異なるため、法務局または土地家屋調査士へご確認ください。
放棄しただけでは地目が変わらない場合があります
耕作をやめて雑草や樹木が生えたとしても、それだけで農地以外の地目へ変更できるとは限りません。
この場面で関係するのが「非農地通知書」です。 農業委員会が現況を調査し、すでに農地に該当しないと判断した土地について通知を出す仕組みで、これを添付して地目変更の登記を申請する流れがあります。
富山地方法務局は「非農地通知書により地目変更の登記申請をされる方へ」という案内を出しており、次の点を示しています。
- 地目変更の登記申請は郵送でもできる(返送先は申請書の申請人であること、簡易書留料を含んだ切手と返送用封筒を同封すること)
- 登記完了までは、申請されてから1〜2週間程度を要する
- 登記されている所有者が亡くなっている場合、相続人が申請できる(相続人が複数の場合でも、相続人の一人から申請できる)
出典:富山地方法務局「非農地通知書により地目変更の登記申請をされる方へ」(2026年8月13日確認)
相続人の一人から申請できるという点は、共有状態の土地では重要です。 手続きの詳細は管轄の法務局および農業委員会へご確認ください。
登記簿が「畑」でも現況が明らかに別用途の場合や、反対に登記簿が「宅地」でも現況が農地の場合は、農地法上の扱いを登記だけで決められません。農業委員会と法務局の双方へ、現況と経緯を示して確認します。
地目変更は土地家屋調査士の領域です
土地の地目変更は、不動産の「表示に関する登記」です。所有者本人が申請することもできます。専門家へ委任する場合は土地家屋調査士が担当します。法務局も、表示に関する登記を代理する専門家として土地家屋調査士を案内しています。
所有権移転や抵当権など、権利に関する登記は司法書士の領域です。農地転用の許可申請書類は行政書士へ依頼できる場合があります。一つの計画でも専門分野が分かれるため、誰がどこまで担当するかを事前に確認します。相続登記と農地の手続も参考にしてください。
手続の順序を土地ごとに確認します
農地を転用して地目変更登記まで進める場合、基本的な流れは次のとおりです。
- 区域と農地区分を確認する
- 農地転用の事前相談
- 届出または許可
- 転用工事
- 現況の変更(ここが起算点です)
- 地目変更登記(現況の変更から1か月以内)
売買を伴う5条では、契約と所有権移転登記の時期も加わります。建築を伴う場合は、建物完成との関係で宅地と認定される時期を確認します。
無断で先に造成し、後から登記だけを変える進め方は避けます。地目変更登記は農地転用手続の代わりにはなりません。古い転用許可証がある場合も、許可内容と現在の利用状況が一致しているかを確認します。
税や売買では登記と現況を分けて確認します
地目変更により固定資産税の評価や課税の扱いが変わる可能性がありますが、具体的な判断は登記だけでなく、基準日時点の現況などに基づきます。個別の税額や申告は、横浜市の税担当窓口や税理士へ確認します。
売却時には、広告上の土地種別、登記地目、現況、農地法上の扱いを混同しないことが大切です。登記地目が畑のままなら、過去に許可を得た経緯と工事の完了状況を調べます。許可書を紛失している場合は、農業委員会や関係部署へ記録の確認方法を尋ねます。
一筆の土地の一部だけを異なる用途にする計画では、分筆が必要になる場合があります。分筆の要否、境界確認、地目変更の単位は土地家屋調査士へ相談します。農地転用申請の範囲と登記する土地の範囲が食い違わないよう、工事前に図面をそろえます。
転用許可そのものの流れと、横浜市で許可が出るまでの時期は農地転用の進め方とかかる期間で整理しています。
土地の登記と現況に違いがある場合は、無料一次診断で資料を整理し、農業委員会・法務局・専門家のどこへ確認するかを明確にしてください。
よくあるご質問
農地転用の許可を受ければ、地目も変わりますか。
変わりません。農地法の手続きと不動産登記の手続きは別で、窓口も農業委員会と法務局に分かれています。許可証が交付されても、登記簿の「畑」「田」は自動的に変わりません。
地目変更にはいつまでに申請しますか。
不動産登記法37条1項により、地目に変更があった日から1か月以内です。正当な理由がないのに怠ると、同法164条1項により10万円以下の過料の対象とされています。
「変更があった日」はいつですか。
地目は土地の主な用途から判断されるため、現況が変わった時点です。許可を受けただけで工事が始まっていない土地は、まだ農地の状態であることがあります。
駐車場にした場合、地目は何になりますか。
不動産登記規則99条が定める23の区分から、現況に当たるものを選びます。駐車場や資材置場は「雑種地」、建物の敷地は「宅地」に当たることが一般的です。個別の判断は法務局または土地家屋調査士へご確認ください。
耕作をやめただけで地目を変えられますか。
変えられるとは限りません。すでに農地に該当しないと農業委員会が判断した場合には「非農地通知書」が出され、これを添付して地目変更の登記を申請する流れがあります。まず農業委員会へご確認ください。
地目変更の登記はどのくらいで完了しますか。
富山地方法務局は、非農地通知書による地目変更登記について「登記完了までは,申請されてから1~2週間程度を要します」と案内しています。管轄の法務局によって異なる可能性があるため、申請先へご確認ください。
誰に依頼しますか。
地目変更は表示に関する登記で、土地家屋調査士が担当します。所有権移転などの権利に関する登記は司法書士、農地転用の許可申請書類は行政書士の領域です。









