農地転用の費用はいくらかかるか【内訳の考え方】

農地転用の費用はいくらかかるか【内訳の考え方】

農地転用にいくらかかるのか、調べても金額の幅が大きくて分からない。費用の内訳を知りたい方に向けて整理しました。

農地転用の費用の中心は専門家へ依頼する場合の報酬で、日本行政書士会連合会の報酬額統計によれば、農地法4条許可申請の平均が96,893円、5条許可申請が120,186円でした(令和7年度調査)。これに書類の取得費と、土地の条件によって発生する測量・造成が加わります。 どの条の手続きになるかは農地法とは|3条・4条・5条の違いをご覧ください。

ただしこれは全国の平均です。実際の金額は依頼する範囲と土地の条件で変わり、同調査でも最小値と最大値には大きな開きがあります。

この記事では、何にいくらかかるのか、誰が払うのか、いつ払うのかを分けて整理します。

目次

まず、区域によって手続が変わります

横浜市では、市街化区域内の農地は農地法4条・5条の届出、市街化調整区域内の農地は許可申請という違いがあります。まず区域と手続を確認し、その後に書類作成、測量、造成、登記などを分けて考えると整理しやすくなります。

農地転用の費用を3つに分けて考える図。専門家への報酬(行政書士へ申請書の作成・提出を依頼する場合。費用の中心)、書類の取得費用(登記事項証明書や公図などの実費。金額は法定)、測量・造成費用(土地の形状や高低差、接道の状況による)

農地転用の申請自体について、横浜市の案内に申請手数料の記載は見当たりませんでした。手数料の要否は管轄の農業委員会へご確認ください。 いずれにしても、証明書の取得、図面の準備、郵送などに実費が生じます。申請にかかる手数料の有無だけで、転用全体の費用は決まりません。

手続の全体像と許可までの期間は農地を転用したい方へ|横浜市での進め方で整理しています。

費用の中心は、専門家へ依頼する場合の報酬です

所有者本人が申請書を作成することはできます。行政書士へ許可申請書や添付書類の作成、提出手続を依頼する場合は報酬が発生します。

日本行政書士会連合会は、行政書士法第10条の2第2項にもとづき、全国的な報酬額統計調査を実施して結果を公表しています。令和7年度調査(令和8年1月実施)の農地法関係の結果は次のとおりです。

手続回答者数平均最頻値最小値最大値
農地法4条許可申請27396,893円80,000円8,800円800,000円
農地法5条許可申請501120,186円100,000円5,000円1,618,720円
農地法4条届出17050,728円50,000円3,000円500,000円
農地法5条届出24554,226円50,000円3,000円500,000円
農地法3条許可申請49358,616円50,000円5,000円500,000円

出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(2026年8月12日確認)。同調査は「調査の金額には消費税を含み、立替金は含みません」としています。

農地法の手続き別 報酬額の平均(全国)(円)
農地法5条許可申請
120,186円
農地法4条許可申請
96,893円
農地法3条許可申請
58,616円
農地法5条届出
54,226円
農地法4条届出
50,728円
許可申請と届出で倍以上の差があります。実際の金額は依頼する範囲と土地の条件で変わります。 出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(2026年8月12日確認)

平均だけを見ると実態を見誤ります。 同調査は金額の分布も公表しており、5条許可申請では5万円以上10万円未満が42.1%、10万円以上15万円未満が29.1%と、この2区分で7割を占めます。一方で最大値は160万円を超えており、案件によって大きく開きます。

4条許可申請も、4万円以上6万円未満が20.9%、6万円以上8万円未満が19.4%、8万円以上10万円未満が19.0%と、4万〜10万円の範囲に約6割が入っています。

この統計は全国の行政書士から回答を集めたものであり、特定の地域や案件の金額を示すものではありません。 農振除外や開発許可など別の手続が必要かどうかでも変わります。依頼範囲と追加業務の条件を見積書で確認してください。

本人で進めるか依頼するかの判断は農地転用は自分でできるか、行政書士に頼むべきかで整理しています。当相談室では、申請書類の作成が必要な場合は行政書士と連携してご案内します。

登記を伴う場合は、報酬が別に発生します

地目変更など表示に関する登記を専門家へ委任する場合は、土地家屋調査士の領域です。行政書士への報酬と登記の報酬は別に見積もる必要があります。 転用と登記の関係は農地転用と地目変更の関係【登記はいつ変わるか】をご覧ください。

書類の取得にかかる費用は法定です

申請には登記事項証明書や公図が要ります。これらの手数料は法令で定められており、どこの法務局でも同じです。

書類請求方法手数料
登記事項証明書(謄抄本)書面請求1通 600円
オンライン請求・送付1通 520円
オンライン請求・窓口交付1通 490円
地図等証明書(公図など)書面請求500円
オンライン請求・送付470円
オンライン請求・窓口交付440円

出典:法務局「主な手数料一覧【令和7年4月1日~】」(2026年8月12日確認)

オンラインで請求すると窓口より安くなります。 筆数が多い土地では差が出ます。このほか住民票の写しなどが必要になり、こちらは自治体ごとに手数料が異なります。

測量・造成は、土地の条件で大きく変わります

境界や面積が不明確なら、資料調査や測量が必要になる可能性があります。境界標が見つからない土地では、隣地所有者との立会いが必要になることもあります。

造成については、駐車場、資材置場、住宅敷地では必要な工事が異なります。整地だけで足りる土地もあれば、盛土、擁壁、進入路、排水施設が必要になる土地もあります。面積、高低差、土の搬出入量、接道、周辺農地への排水対策によって費用は変わります。

市街化調整区域では、農地転用の許可とは別に都市計画法上の確認が必要になる場合があります。建物を建てられる見込みが固まる前に造成を発注すると、計画を変更することになりかねません。市街化調整区域の基本を確認し、農業委員会と建築・開発の担当窓口へ先に相談する順序が安全です。

費用は誰が払うのか

農地法5条の許可申請は、譲渡人(農地所有者)と譲受人(転用者)の共同申請です。 農地法5条1項は「当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない」と定めており、売主・買主の双方が申請することになります。

ただし申請者が誰かということと、費用を誰が負担するかは別の話です。 費用を誰が負担するかは、当事者間の取り決めによることになります。売買契約の条件として、誰がどこまで負担するかを契約前に明確にしておいてください。

4条の申請は所有者本人が申請者になります。

契約と許可の順序を含めた進め方は農地を宅地にするには|自分で建てる場合と、売る場合の流れで整理しています。

支払う時期も項目ごとに違います

調査や証明書の取得は申請前、専門家への報酬は契約時や業務完了時、造成費は着工前後など、支払う時期も項目ごとに異なります。売却代金が入ってからすべてを支払えるとは限りません。 依頼先ごとの支払条件を確認し、許可前に必要な準備費を含めて資金の流れを整理します。

また、見積りに含まれない作業を確認します。境界標が見つからない、排水経路を変更する、土質に応じて工法を変えるといった事情で追加作業が必要になる可能性があります。現地調査前の概算と、調査後の正式見積りを分けて受け取ると比較しやすくなります。複数の見積りを比べる場合も、同じ作業範囲であることを確かめます。

転用後には、草刈りや設備点検、固定資産税など継続的な負担も生じます。税の扱いは土地の利用状況などで異なるため、個別の判断は市税の窓口や税理士へ確認します。初期費用だけでなく、利用開始後の管理方法まで含めて計画してください。

見積り前にそろえる情報

最初に、登記事項証明書、公図、地積測量図の有無を確認します。現況写真、進入経路、使いたい用途も整理します。共有地なら、申請や工事に関係する権利者の意向確認も欠かせません。

見積りは「農地転用一式」だけで比べず、事前調査、書類作成、図面、他法令の手続、測量、登記、造成を分けて確認します。許可されなかった場合や計画変更時の扱いも、契約前に確かめておくと行き違いを減らせます。

先に可能性を確認すると無駄を抑えられます

費用を正確に考えるには、土地の地番、区域区分、農地区分、農用地区域への該当、予定用途が必要です。優良農地は原則不許可となる区分があり、一般基準でも資金計画や周辺農地への影響が審査されます。工事費の見積りより前に、転用の見込みを確認しましょう。 許可が下りにくい土地の条件は農地転用できない土地とは【許可がおりないケース】で整理しています。

よくあるご質問

農地転用の申請にいくらかかりますか。

費用の中心は専門家へ依頼する場合の報酬で、日本行政書士会連合会の令和7年度統計では農地法4条許可申請の平均が96,893円、5条許可申請が120,186円でした。これに書類の取得費、必要に応じて測量・造成が加わります。

100坪だといくらになりますか。

面積だけでは決まりません。申請にかかる報酬は面積に比例するとは限らず、造成の要否と内容で総額が大きく動きます。同じ100坪でも、整地だけで済む土地と、盛土・擁壁・排水設備が必要な土地では別の金額になります。

農地転用の費用は売主と買主のどちらが払いますか。

5条の許可申請は譲渡人と譲受人の共同申請ですが、申請者が誰かということと、費用を誰が負担するかは別です。 費用を誰が負担するかは、当事者間の取り決めによることになります。売買契約の条件として、誰がどこまで負担するかを契約前に明確にしてください。

自分で申請すれば報酬はかかりませんか。

本人が申請することは制度上可能で、その場合は専門家への報酬は発生しません。ただし添付書類は多く、横浜市の場合は事前相談・現地調査・申請書の内容確認という段階が案内されています。判断の材料は農地転用は自分でできるか、行政書士に頼むべきかをご覧ください。

許可が下りなかった場合、支払った費用は戻りますか。

依頼先との契約内容によります。着手金の扱い、不許可の場合の精算方法は、契約前に書面で確認しておいてください。

見積りはいつ取ればよいですか。

転用の見込みが立ってからにしてください。区域と農地区分の確認が先です。見込みが立たないうちに造成の見積りを取っても、計画ごと変わる可能性があります。

費用を整理する順序

まとめると、次の順で考えると無駄が出にくくなります。

  1. 区域区分と農地区分を確認し、転用の見込みを立てる
  2. 手続が許可か届出かを確定させる(報酬の水準が変わります)
  3. 依頼する範囲を決め、行政書士・土地家屋調査士それぞれの見積りを取る
  4. 用途を固めてから造成の見積りを取る
  5. 誰がいつ払うかを、契約前に決めておく

土地資料と希望用途を整理したうえで、無料一次診断をご利用ください。必要な確認先と費用項目を切り分けます。

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この記事を書いた人

横浜市周辺の農地・市街化調整区域の土地について、国や自治体が公表している情報をもとに、所有者の方がまず確認すべきことを整理して発信しています。登記・許認可・測量・税務・売買の各手続きは、それぞれの分野の専門家と連携して進めます。

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