農地転用の申請は自分でできるのか、それとも行政書士に頼むべきか。判断に迷っている方に向けた記事です。
農地転用は本人でも申請できます。 ただし市街化区域内の届出で権利関係が単純なら本人申請を検討しやすく、市街化調整区域の許可申請や農用地区域(青地)が絡む場合は依頼を考える場面になります。 青地・白地の違いと除外の要件は農地の「青地」「白地」とはで整理しています。
判断の材料になるのは、報酬と手間の比較です。日本行政書士会連合会の令和7年度統計では、4条許可申請の報酬は平均96,893円、5条許可申請は120,186円でした。届出であれば5万円前後です。
一方、横浜市中央農業委員会(鶴見・神奈川・保土ケ谷・旭・港北・緑・青葉・都筑の8区が管轄)では、総会が基本的に毎月26日、審議対象は当月10日までの提出分とされ、事前相談から受付まで1か月以上かかることがあります。提出が10日を過ぎれば、その月の総会では審議されません。
この記事では、本人申請と依頼のどちらを選ぶかの判断材料を整理します。
所有者本人が申請することはできます
農地転用は、専門家へ依頼しなければならないと決まっている手続ではありません。所有者や申請当事者が申請書を作り、必要書類を集めて農業委員会へ提出できます。横浜市は4条・5条の手続案内と添付書類を公開しています。
ただし、市街化区域は届出、市街化調整区域は許可申請です。4条は所有者自身の転用、5条は転用を目的とする権利移転・設定です。自分の土地だから4条とは限らず、売買や賃貸を伴う計画では申請当事者が変わります。
自分で進めるときの負担は書類だけではありません
申請書のほか、登記事項証明書、公図、案内図、配置図、土地利用計画図、資金関係資料などが必要になる場合があります。土地の条件と用途により書類は変わります。不足があれば補正し、計画を説明できるように整えます。
市街化調整区域では、農地区分や農用地区域を確認し、立地基準・一般基準・個別基準に合う計画を作ります。
そして日程の制約があります。 横浜市中央農業委員会は、総会が基本的に毎月26日開催(26日が休日の場合はその休前日)、審議される案件は当月10日までに提出されたものに限る、と案内しています。農地法の許可について、事前相談から受付まで1か月以上かかることがあるとも示しています。
書類の不備で提出が10日を過ぎると、その月の総会の審議対象から外れます。 自分で進める場合は、この日程を前提に逆算する必要があります。建物を建てるなら都市計画法、道路、排水などの担当部署との調整も必要になる可能性があります。平日に窓口へ行く回数や、図面を準備する手間も考えておきます。
行政書士へ依頼できること

行政書士法1条の3第1項は、行政書士の業務を次のとおり定めています。
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類〔中略〕その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
同法19条1項は、行政書士または行政書士法人でない者が、報酬を得て業として同法1条の3に規定する業務を行うことを制限しています(他の法律に別段の定めがある場合等を除きます)。 農地転用では、資料確認、申請書や理由書の作成、添付書類の整理、農業委員会への提出手続などを依頼できる場合があります。
行政書士へ依頼しても、転用が認められると約束されるわけではありません。土地の区分や計画が許可基準を満たす必要があります。また、境界測量や地目変更登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士、売買の媒介は宅地建物取引業者の領域です。
当サイトは農地転用申請の代行を行いません。必要に応じて、行政書士など担当分野の専門家を案内します。不動産の売却については、提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。
依頼を考えやすいケース
青地の可能性がある、市街化調整区域で建築を伴う、共有者がいる、境界や排水先が不明、5条で契約との調整が必要、といった場合は関係者と制度が増えます。
青地に当たる可能性は、決して低くありません。 当サイトでeMAFF農地ナビの公表データ(横浜市内 32,259筆)を集計したところ、農用地区域内(青地)が35.0%でした。公表されている農地のうち、およそ3件に1件です(2026年8月13日取得。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。申請期限が決まっている場合も、必要作業を早めに見積もる必要があります。 区別の筆数や地目の内訳は横浜市の農地データをご覧ください。
一方、市街化区域内の届出で権利関係が単純であり、図面や証明書を自分で準備できるなら、本人申請を検討しやすい場合があります。まず横浜市の最新様式と添付書類一覧を確認し、不明点を農業委員会へ尋ねます。
報酬は依頼範囲を分けて確認します
行政書士の報酬は事務所ごとに異なりますが、全国の水準は統計で分かります。
| 手続 | 回答者数 | 平均 | 最頻値 |
|---|---|---|---|
| 農地法4条許可申請 | 273 | 96,893円 | 80,000円 |
| 農地法5条許可申請 | 501 | 120,186円 | 100,000円 |
| 農地法4条届出 | 170 | 50,728円 | 50,000円 |
| 農地法5条届出 | 245 | 54,226円 | 50,000円 |
出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(2026年8月13日確認)。同調査は「調査の金額には消費税を含み、立替金は含みません」としています。
許可と届出で倍近い差があります。 どちらになるかは区域区分で決まるため、まず区域を確認してください。
そのうえで、農地転用だけか、農振除外や開発関係の書類も含むか、図面や証明書の取得を誰が行うかで変わります。具体的な金額だけでなく、業務範囲、実費、追加対応、許可されなかった場合の扱いを見積書で確認してください。農地転用費用の内訳も参考にしてください。
事前相談だけは本人でも早めに行えます
依頼するか決める前でも、土地の地番と希望用途を整理して農業委員会へ相談できます。次の順で進めてください。
- 地番と希望用途を整理する
- 農業委員会へ事前相談し、どの手続きに当たるかを確認する
- 最新の様式、受付時期、添付書類、他部署への相談先を聞く
- 回答内容・担当部署・確認日をメモに残す
4を残しておくと、後から専門家へ依頼する場合にも役立ちます。
自分で作成する場合は、申請書の各欄と図面・証明書の内容を一致させます。面積、所有者住所、工事期間、資金額などの食い違いは補正の原因になります。提出用と手元保管用を分け、追加資料や窓口とのやり取りも保存します。
途中から行政書士へ依頼することも考えられますが、すでに結んだ契約や作った図面の見直しが必要になる場合があります。難しい点が分かった段階で、依頼範囲と見積りを確認します。専門家を使うかどうかは、手続の複雑さ、時間、本人が準備できる資料を踏まえて判断します。
本人で進めるにしても、事前相談から許可書発行までの流れを把握しておくと見通しが立ちます。横浜市での農地転用の進め方をご覧ください。
まず無料一次診断で土地と計画を整理し、本人申請で進める範囲と専門家へ確認する範囲を切り分けてください。
よくあるご質問
農地転用は自分で申請できますか。
できます。専門家へ依頼しなければならないと決まっている手続きではありません。所有者や申請当事者が申請書を作り、必要書類を集めて農業委員会へ提出できます。
行政書士に頼むといくらですか。
日本行政書士会連合会の令和7年度統計では、4条許可申請が平均96,893円、5条許可申請が120,186円、4条届出が50,728円、5条届出が54,226円でした。実際の金額は依頼範囲と土地の条件で変わります。
自分でやると何が大変ですか。
書類の準備だけでなく、日程の制約があります。横浜市中央農業委員会は、総会が基本的に毎月26日開催、審議対象は当月10日までの提出分、事前相談から受付まで1か月以上かかることがあると案内しています。提出が10日を過ぎれば、その月の総会の審議対象から外れます。南西部農業委員会管轄の区については、日程を同委員会へご確認ください。
途中から依頼できますか。
可能ですが、すでに結んだ契約や作った図面の見直しが必要になる場合があります。難しい点が分かった段階で、依頼範囲と見積りを確認してください。
依頼すれば許可されますか。
依頼しても、転用が認められると約束されるわけではありません。土地の区分や計画が許可基準を満たす必要があります。
どこまでが行政書士の仕事ですか。
境界測量や地目変更登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士、売買の媒介は宅地建物取引業者の領域です。一つの計画でも担当が分かれます。









