農地を宅地にするには|自分で建てる場合と、売る場合の流れ

農地を宅地にするには|自分で建てる場合と、売る場合の流れ

畑を宅地にして家を建てたい、あるいは宅地にして売りたい。そう考えている方に向けて、流れと注意点を整理しました。

農地を宅地にする手続きは、最初に2つへ分かれます。自分で使うなら農地法4条、売る(貸す)なら5条です。 用語の意味とよくある勘違いは農地法をわかりやすくで整理しています。 どれに当たるかの判定は農地法3条・4条・5条はどれに当たるかで整理しています。

どうしたいか申請する人
自分で家を建てる・自分で使う4条所有者
買主に売る・借主に貸す(転用目的)5条売主と買主の共同申請

どちらでも、流れの骨格は同じです。 区域と農地区分の確認 → 建築・開発の窓口へ相談 → 農業委員会へ事前相談 → 4条または5条の許可申請(市街化区域内は届出)→ 造成 → 地目変更登記、という順序になります。3条・4条・5条の違いは農地法とはで整理しています。

期間は、審議の総会が月1回である点に左右されます。 横浜市中央農業委員会では総会が基本的に毎月26日、審議対象は当月10日までの提出分とされ、事前相談から受付まで1か月以上かかることがあります。締切を過ぎれば翌月に回ります。

条件は立地基準・一般基準・個別基準の3つを満たすことです。費用は、専門家への報酬(5条許可申請の全国平均は120,186円)に加えて、書類の取得費・測量・造成・登記がかかります。以下、条件・費用・期間・手順の順に整理します。

目次

条件:宅地として使えるかが先です

農地転用が検討できることと、住宅が建てられることは同じではありません。

売りに出す前に、買主が予定する建物を建てられるかを確認します。市街化区域では農地転用は届出ですが、用途地域、接道、建築制限などは別に確認が必要です。市街化調整区域では農地法の許可に加え、都市計画法上の開発や建築の許可が必要となる場合があります。

まず次を整理してください。

  1. 地番
  2. 区域区分(市街化区域か市街化調整区域か)
  3. 農用地区域に入っているか
  4. 農地区分
  5. 道路(接道の状況)
  6. 上下水道、排水先

3で「農用地区域内(青地)」に当たると、原則不許可の扱いになります。 eMAFF農地ナビに公表されている横浜市の農地32,259筆のうち、35.0%が農用地区域内でした(2026年8月時点。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。調べ方は自分の農地の地番・場所が分からないときの調べ方をご覧ください。 集計の全体と限定条件は横浜市の農地データ(32,259筆の集計)で公開しています。 青地・白地の違いと除外の要件は農地の「青地」「白地」とはで整理しています。

許可基準は3つあります

横浜市は、農地転用の許可基準として次の3つを示しています。

基準内容
立地基準農地の営農条件や周辺の市街化の状況から可否を判断する
一般基準転用の確実性(資力・信用、同意、遅滞なく供すること、他の免許等の見込み、地域計画に登載された農地でないこと 等)と、周辺農地への被害防除
個別基準転用目的に応じた個別的な基準。個別対応となる

一般基準の「転用の確実性」が、売却では効いてきます。 買主と計画が具体化していないと、確実性を示せません。

許可がおりにくい土地の条件は農地転用できない土地とは【許可がおりないケース】で整理しています。

自分で家を建てる場合は農地法4条です

所有者が自分の農地を自分で転用する場合は4条です。 権利が動かないため、共同申請にはなりません。

農地法4条1項は次のとおりです。

農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

出典:農地法4条1項(2026年8月14日確認)

横浜市は指定市町村なので、許可権者は市長です。 市街化区域内なら届出、市街化調整区域内なら許可申請になります。

4条でも、立地基準・一般基準・個別基準は同じように審査されます。 「自分の土地だから自由にできる」ということはありません。一般基準の「転用の確実性」では、資力・信用や、遅滞なく転用の用に供することが問われます。建てる計画が固まっていない段階では、確実性を示しにくくなります。

報酬の目安も5条とは異なります。 日本行政書士会連合会の令和7年度報酬額統計では、4条許可申請の平均が96,893円、4条届出が50,728円でした。内訳の全体像は農地転用の費用はいくらかかるか【内訳の考え方】で整理しています。

買主へ移す転用は農地法5条です

農地法5条1項は次のとおりです。

農地を農地以外のものにするため〔中略〕これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

所有者が自分で転用する4条と異なり、転用目的で売買する場合は5条です。横浜市では、市街化区域内は5条届出、市街化調整区域内は5条許可申請となります。市街化調整区域の申請書は農業委員会へ提出されます。

5条は売主と買主の共同申請です。 売主だけでは進みません。買主と具体的な利用計画が必要になるため、買主未定のまま「先に宅地へ変えておく」という進め方は適さない場合があります。

4条と5条の違いは農地転用とは?農地法4条と5条の違いを条文から整理で整理しています。

費用:報酬のほかに測量・造成がかかります

日本行政書士会連合会の令和7年度報酬額統計によれば、農地法関係の報酬は次のとおりです。

手続回答者数平均最頻値
農地法5条許可申請501120,186円100,000円
農地法5条届出24554,226円50,000円

出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(2026年8月13日確認)。同調査は「調査の金額には消費税を含み、立替金は含みません」としています。

許可と届出で倍以上の差があります。 どちらになるかは区域区分で決まるため、区域の確認が費用の見通しにも直結します。

このほか、書類の取得費、測量、造成、登記の費用がかかります。誰がどこまで負担するかは当事者間の取り決めです。 内訳の全体像は農地転用の費用はいくらかかるか【内訳の考え方】で整理しています。

期間:総会の日程に左右されます

横浜市では、審議の日程が決まっています。 横浜市中央農業委員会は次のように案内しています。

  • 総会は基本的に毎月26日に開催(26日が休日の場合はその休前日)
  • 総会で審議される案件は当月10日までに提出されたものに限る(休日の場合は休前日が締切)
  • 農地法の許可について、事前相談から受付まで1か月以上かかることがある

出典:横浜市中央農業委員会 FAQ(2026年8月13日確認)

締切を1日過ぎると、審議は翌月へ回ります。 事前相談の期間を含めると、申請の準備を始めてから許可までに数か月単位の見通しが要ります。市街化調整区域では都市計画法上の手続きが重なることもあります。

なお南西部農業委員会管轄の農地については、締切日や審議日程を南西部農業委員会へ直接ご確認ください。

契約・許可・所有権移転の順序

農地を宅地にして売る場合の契約・許可・所有権移転の順序を示した図。1.農業委員会と建築・開発の担当窓口へ相談、2.確認結果を契約条件へ反映(許可を停止条件とする方法がある)、3.農地法4条または5条の許可、4.許可後に工事と所有権移転

許可前に代金決済や造成を進めると、農地法違反や契約上の問題につながる可能性があります。

農地のまま買主と契約する場合、農地法5条の許可を停止条件とするなど、許可が得られない場合を想定した契約条件が使われることがあります。契約内容は個別性が高いため、提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。 権利関係の登記は司法書士の領域です。

先に農業委員会と建築・開発の担当窓口へ相談し、その確認結果を契約条件へ反映させる流れになります。相続した農地の売却は相続した農地は売却できるのかもあわせてご覧ください。

許可後に工事と地目変更を行います

許可または届出の受理後、申請した計画に沿って造成します。

造成の内容は土地ごとに違い、費用もそこで大きく動きます。 当サイトでは造成費の相場を提示していません。公的な統計を確認できていないためです。代わりに、見積りを取る前に確認しておく項目を挙げます。

確認する項目見るところ
高低差前面道路との段差、盛土か切土か
擁壁必要か、既存のものを使えるか
進入路工事車両が入れる幅があるか
排水排水先をどこに取るか、周辺農地への影響
地盤水田だった土地か(地耐力の確認が要る場合があります)
残置物農業用施設、樹木、井戸などが残っていないか

周辺農地への土砂流出や排水の影響を避ける計画が必要です。 これは一般基準の「被害防除」に関わる部分でもあります。

登記簿の地目は、許可を受けただけで自動的に宅地へ変わるものではありません。 実際に宅地として利用できる状態になった後、現況に応じて地目変更登記を申請します。表示に関する登記を専門家へ委任する場合は土地家屋調査士が担当します。

地目変更の扱いは農地転用と地目変更の関係【登記はいつ変わるか】で整理しています。

よくあるご質問

農地を宅地にするには何が必要ですか。

自分で使うなら農地法4条、売る(貸す)なら5条の許可です。市街化区域内の農地はいずれも届出になります。横浜市は指定市町村のため、許可権者は市長です。

畑を宅地にする場合と、田んぼを宅地にする場合で違いはありますか。

農地法の手続きは同じ4条・5条です。ただし造成の内容は変わることがあります。水田だった土地では地盤の確認が必要になる場合があり、排水先の取り方も土地によって異なります。

自分で家を建てる場合の手続きは。

農地法4条です。権利が動かないため共同申請にはなりません。ただし立地基準・一般基準・個別基準は同じように審査され、一般基準では転用の確実性(資力・信用、遅滞なく転用の用に供すること等)が問われます。

買主が決まる前に宅地にしておけますか。

適さない場合があります。5条は転用目的での権利移動を対象とし、許可基準の一般基準では転用の確実性が審査されます。買主と計画が具体化していないと確実性を示せません。

農地転用 宅地の費用はいくらですか。

専門家への報酬は、日本行政書士会連合会の令和7年度統計で5条許可申請の平均が120,186円、5条届出が54,226円でした。このほか書類の取得費、測量、造成、登記の費用がかかります。造成の内容によっては、報酬より大きくなることもあります。

どのくらい期間がかかりますか。

横浜市中央農業委員会は、総会が基本的に毎月26日開催、審議対象は当月10日までの提出分、事前相談から受付まで1か月以上かかることがある、と案内しています。締切を過ぎると翌月の審議になります。

条件を満たしているか、どこで分かりますか。

区域区分と農地区分の確認が先です。農用地区域内(青地)は原則不許可の扱いになります。eMAFF農地ナビや管轄の農政事務所で確認できます。

契約を先に結んでもよいですか。

許可を停止条件とするなど、許可が得られない場合を想定した契約条件が使われることがあります。契約内容は個別性が高いため、提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。許可前の代金決済や造成は避けてください。

進める順序

  1. 地番・区域区分・農用地区域・農地区分を確認する
  2. 建築・開発の担当窓口へ、予定する建物が建てられるかを相談する
  3. 自分で使うのか、売る(貸す)のかを決める — 4条か5条かがここで分かれます
  4. 農業委員会へ事前相談する(受付まで1か月以上かかることがあります)
  5. 計画を具体化する(5条の場合は買主と、許可を条件とする契約条件を整える
  6. 4条または5条の許可申請または届出を行う(総会の締切に注意)
  7. 許可後に造成し、宅地として利用できる状態になってから地目変更登記

手続きの全体像は農地を転用したい方へ|横浜市での進め方、市街化調整区域の扱いは市街化調整区域の農地をお持ちの方へをご覧ください。

本記事は制度の一般的な内容をご説明するものです。許可申請は行政書士、登記は司法書士・土地家屋調査士、売買の取引は宅地建物取引業者がそれぞれ担当します。当サイトはこれらの手続きを代理するものではなく、必要に応じて提携する専門家へおつなぎします。記載内容は2026年8月時点の情報に基づきます。

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この記事を書いた人

横浜市周辺の農地・市街化調整区域の土地について、国や自治体が公表している情報をもとに、所有者の方がまず確認すべきことを整理して発信しています。登記・許認可・測量・税務・売買の各手続きは、それぞれの分野の専門家と連携して進めます。

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