農地を駐車場や資材置き場にできないだろうか、と考えていませんか。用途別に何を確認すべきかを整理した記事です。
駐車場・資材置場・太陽光のいずれも、農地転用の手続きの対象になり得ます。 建物を建てなくても、舗装しなくても、農地として使わなくなるのであれば同じです。
用途を決める前に、その土地が転用できる区分かを先に確認してください。 用途の計画が固まっていても、農用地区域に入っていれば、まず区域からの除外という別の手続きが先に立ちます。
横浜市では、許可を出すのは市長です
神奈川県内で農地転用の許可権限を持つ指定市町村は、横浜市だけです。 農林水産省の一覧では、横浜市の指定の効力が生じた日は平成28年11月1日とされています。
| 場所 | 手続き |
|---|---|
| 市街化区域内 | 農地法4条または5条の届出 |
| 市街化調整区域内 | 農地法4条または5条の許可(許可権者は市長) |
| 自分で使う | 4条 |
| 売買・賃貸など権利の移転・設定を伴う | 5条 |
面積によって手続きが増えます。横浜市の資料では、3,000㎡超で農業委員会ネットワーク機構への諮問、4ha超で農林水産大臣との協議を要するとされています。
出典:横浜市「農地法第4条・第5条の許可(届出)」(2026年8月13日確認) 条文の全体像は農地法とは|3条・4条・5条の違いで整理しています。
面積の目安として、横浜市の農地は多くが3,000㎡を下回ります。 eMAFF農地ナビに公表されている32,259筆では、1筆あたり面積の中央値は462㎡、500㎡未満が53.1%でした(2026年8月13日取得。市街化区域内の農地は非公表のため含まれません)。 面積・区別・地目の内訳はeMAFF公表分32,259筆の集計にまとめています。
許可基準は3つあります
横浜市は許可基準を立地基準・一般基準・個別基準の3つとして示しています。 「立地と一般の2つ」ではありません。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 立地基準 | 農地の区分による判断 |
| 一般基準 | 転用事業の確実性と被害防除 |
| 個別基準 | 転用目的に応じた個別的な基準(個別対応) |
用途の計画で問われるのは、主に一般基準の「転用事業の確実性」です。 横浜市は一般基準の内容として、資力・信用、関係者の同意、遅滞なく転用の用に供すること、他の免許等の見込み、地域計画に登載された農地でないことなどを挙げています。
「将来使うかもしれない」という段階では、確実性を説明しにくくなります。
用途ごとに、事前相談へ持っていく情報
個別基準は「転用目的に応じた個別的な基準」であり、横浜市は個別対応としています。 用途ごとに何がどこまで求められるかは、事前相談で確認することになります。
以下は、相談の前に手元で整理しておくと話が進めやすい項目です。 要件そのものではなく、計画の中身を伝えるための材料としてお読みください。
駐車場

| 整理しておく情報 |
|---|
| 誰が使う想定か、必要な台数 |
| 出入口の位置、前面道路との接続 |
| 舗装や照明の施工方法 |
| 雨水の排水先と処理方法 |
排水は隣接農地に関わります。 砂利や舗装で雨水の流れが変わる計画であれば、排水先をどう扱うかを事前相談で確認してください。
資材置場

| 整理しておく情報 |
|---|
| 置く資材の種類、量、積み方 |
| 車両の種類、搬出入の頻度 |
| その広さが必要な理由、既存事業との関係 |
| 周囲への飛散、騒音、土砂流出への対策 |
何を置くのかを具体的に示せる状態にしてください。 面積や置く物の説明は、一般基準の「転用事業の確実性」に関わる部分です。
太陽光
方式によって扱いが分かれます。
| 方式 | 扱い |
|---|---|
| 農地全体を発電設備の敷地にする | 通常の農地転用(立地・一般・個別基準) |
| 営農を続けながら上部に設ける(営農型) | 支柱部分について一時転用許可。下部農地で営農を続ける計画が要る |
系統接続や採算の見込みだけで転用が認められるわけではありません。 農地区分ごとの方針、営農型の要件、撤去と原状回復までは農地に太陽光発電は設置できるのかで整理しています。
着工の時期に制約があります
許可が下りるまで工事に着手できません。 横浜市は「許可が下りるまでは、工事着工はできません」と明記しています。
期間の目安も公表されています。
- 事前相談(来庁予約が必要。公図、登記事項証明書、案内図、前面道路の水道・下水道・ガス管等の埋設状況がわかる資料を持参)
- 現地調査(事前相談から約2週間〜)
- 申請(受付〆切は毎月10日。土日祝日の場合は前営業日)
- 農業委員会会議(毎月下旬頃)
- 横浜市審査(申請月の翌月中旬頃)
- 許可書発行(申請月の翌月下旬頃)
他法令が関係する場合、その進捗によって許可日が遅くなることがあります。 横浜市は他法令の例として、開発許可、建築許可、盛土規制法許可、雨水浸透阻害行為の許可、風致地区内行為許可を挙げています。
設備の契約や造成工事を先に進めないでください。 農地法4条1項・5条1項に違反した場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となり、法人には両罰規定により1億円以下の罰金刑が科されます(農地法64条・67条)。無許可でした行為はその効力を生じません(同法5条3項が準用する3条6項)。 はじめて調べる方は農地法をわかりやすく|なぜ許可が要るのかをご覧ください。 3類型の判定表とケース別の当てはめは農地法3条・4条・5条をご覧ください。
農用地区域に入っていると、順番が変わります
横浜市には農業振興地域制度が適用されています。 農用地区域に指定されている農地を転用したい場合、まず区域からの除外が必要になります。
除外は随時できるわけではありません。 横浜市は農業振興地域整備計画の変更について、定期的な変更(おおむね5年ごと)と随時的な変更(1年に2回程度)があり、定期的な変更の期間中は随時的な変更を受け付けないとしています。
農用地区域に入っているかは、地番を調べたうえで農政事務所へ問い合わせます。
| 事務所 | 電話 | 管轄 |
|---|---|---|
| 北部農政事務所 | 045-948-2477 | 鶴見、神奈川、保土ケ谷、旭、港北、緑、青葉、都筑 |
| 南部農政事務所 | 045-866-8491 | 西、中、南、港南、磯子、金沢、戸塚、栄、泉、瀬谷 |
調整区域では農地法以外も確認します
市街化調整区域は市街化を抑える区域です。 農地転用の条件を満たしても、管理棟などの建築、土地の造成、道路への接続が認められるとは限りません。市街化調整区域で土地活用を考える手順を確認し、農業委員会と建築・開発の担当窓口へ並行して相談してください。
相談先ごとに質問を分けてください。 農地法は農業委員会、建築・開発は横浜市の担当部署、登記は法務局または担当資格者です。回答日と前提条件を記録し、計画を変更したときは改めて確認します。
許可後に用途を変える場合
許可を受けた用途と実際の使い方が異なると、別の手続きが必要になる場合があります。 駐車場として申請した土地を資材置場へ変える、置く資材の種類や範囲を大きく変えるといった場合は、変更前に農業委員会へ確認してください。
違反転用に対しては、原状回復等の措置を命じられることがあります。 農地法51条は、許可の取消し、条件の変更、工事の停止命令、原状回復その他必要な措置を命ずることができるとし、命令に従わない場合はその旨と土地の地番等を公表できるとしています。行政が自ら措置を講じ、その費用を負担させることもできます。
よくあるご質問
舗装しない砂利敷きの駐車場でも手続きが要りますか。
農地として使わなくなるのであれば、農地転用に当たり得ます。建物の有無や舗装の有無で決まるものではありません。計画の段階で農業委員会へご相談ください。
横浜市の許可は誰が出しますか。
市長です。横浜市は農地転用許可権限に係る指定市町村で、農林水産省の一覧では指定の効力が生じた日は平成28年11月1日とされています。神奈川県内で指定を受けているのは横浜市のみです。
許可までどのくらいかかりますか。
横浜市の公表資料では、申請の受付〆切は毎月10日、農業委員会会議が毎月下旬頃、市の審査が申請月の翌月中旬頃、許可書発行が申請月の翌月下旬頃とされています。事前相談から現地調査までは約2週間〜です。他法令が関係する場合は遅くなることがあります。
許可前に工事を始めてもよいですか。
できません。横浜市は「許可が下りるまでは、工事着工はできません」としています。農地法4条1項・5条1項に違反した場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となります。
農用地区域だと転用できませんか。
まず区域からの除外が必要になります。横浜市は農業振興地域整備計画の変更について、定期的な変更(おおむね5年ごと)の期間中は随時的な変更を受け付けないとしています。地番を調べたうえで農政事務所へお問い合わせください。
営農型太陽光は普通の転用と違いますか。
支柱部分について一時転用許可が必要となり、下部農地で営農を続ける計画が求められます。詳しくは農地に太陽光発電は設置できるのかをご覧ください。
ご相談について
用途を決める前に、そもそも転用できる区分かの絞り込みが要ります。 手順と期間は農地を転用したい方へで整理しています。
希望用途と土地の資料(地番、面積、公図)をもとに、無料の一次診断で確認項目を整理できます。









