「この畑、駐車場にでもできないだろうか」と調べ始めると、農地法、立地基準、農業委員会といった言葉が次々に出てきて、どこから手をつければいいのか分からなくなっていませんか。このページは、確認する順序と実際にかかる期間を整理したものです。
農地を農地以外の用途に使うには、原則として農地法の許可が必要です。横浜市の農地については、許可を出すのは神奈川県知事ではなく横浜市長です。申請の受付は毎月10日、許可書が出るのは申請した月の翌月下旬頃で、申請にたどり着くまでに事前相談と現地調査の期間が別途かかります。そして転用できるかどうかは、土地の区域と農地区分でおおよそ決まります。
30秒でわかる|あなたの農地はどの入口か
まず、2つのことを確認してください。その農地が市街化区域にあるか、そして自分で使うのか、他の人に渡すのかです。
| 自分で使う(所有者が転用する) | 他の人に売る・貸す(相手が転用する) | |
|---|---|---|
| 市街化区域内の農地 | 農地法4条の届出 | 農地法5条の届出 |
| 市街化調整区域など市街化区域外の農地 | 農地法4条の許可 | 農地法5条の許可 |
横浜市の場合、許可申請の申請者と許可権者は次のとおりです。
| 転用の種類 | 許可申請者 | 許可権者 |
|---|---|---|
| 農地法4条(所有者が自ら転用する) | 転用を行う者(農地所有者) | 横浜市長 |
| 農地法5条(権利設定・移転をして転用する) | 譲渡人(農地所有者)および譲受人(転用者) | 横浜市長 |
出典:横浜市「農地の転用の許可(農地法第4・5条)申請手続き及び添付書類について」(最終更新 令和7年11月、2026年8月11日確認)
4条と5条の違いそのものについては農地転用とは。手続きの全体像と4条・5条の違いで整理しています。
横浜市では、許可を出すのは「市長」です
横浜市の農地転用の許可権者は、神奈川県知事ではなく横浜市長です。県内の他の市町村と異なる点で、見落とされやすいところです。
農地法4条1項は、許可を出す立場の人を次のように定めています。括弧の中に注目してください。 無許可だった場合の効果と罰則は農地法とはにまとめています。
農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
出典:農地法(e-Gov法令検索)(2026年8月11日確認)
引用の末尾にあるただし書きには、許可を要しない場合が列挙されています。市街化区域内の農地をあらかじめ農業委員会へ届け出て転用する場合は、この例外に当たります。
この「指定市町村」に、横浜市が入っています。
農林水産省が公表している指定市町村一覧(令和8年7月31日現在)には「神奈川県 横浜市 平成28年11月1日」と記載されています。神奈川県内で農地転用許可権限の指定を受けているのは、横浜市だけです。
出典:農林水産省「農地転用許可権限に係る指定市町村一覧」(令和8年7月31日現在、2026年8月11日確認)
つまり横浜市の農地については、許可を出すのも横浜市ということになります。県内の他の市町村とは許可権者が異なるため、他市町村の案内をそのまま当てはめないようご注意ください。 後述するスケジュールも、横浜市が公表しているものです。
なお、面積によって追加の手続きが入ります。横浜市は、農地面積が3,000平方メートルを超える場合は農業委員会ネットワーク機構への諮問を要し、4ヘクタールを超える場合は農林水産大臣との協議を要すると案内しています。
転用できるかどうかは、この順番で絞り込みます
「うちの農地は転用できますか」という問いに、その場で答えられる人はいません。土地の条件で決まるためです。ただ、確認する順番は決まっています。
- 市街化区域か、市街化区域外かを確認する
- 農用地区域(いわゆる青地)に入っていないかを確認する
- 農地区分を確認する 青地・白地の違いと除外の要件は農地の「青地」「白地」とはで整理しています。
以下、順に見ていきます。
1|市街化区域か、市街化区域外か
市街化区域内の農地であれば、許可ではなく農業委員会への届出で足ります。ここが最初の分かれ道です。市街化調整区域や都市計画区域外であれば許可が必要になり、以降の絞り込みへ進みます。
2|農用地区域(いわゆる青地)に入っていないか
農業振興地域の農用地区域に指定されている農地は、転用が原則として認められません。転用したい場合は、まず農用地区域からの除外という別の手続きが前提になります。
横浜市では、農用地区域に指定されているかどうかは地番を調べたうえで農政事務所に問い合わせる形になっています。
| 窓口 | 電話 | 管轄区 |
|---|---|---|
| 北部農政事務所 | 045-948-2477 | 鶴見・神奈川・保土ケ谷・旭・港北・緑・青葉・都筑 |
| 南部農政事務所 | 045-866-8491 | 西・中・南・港南・磯子・金沢・戸塚・栄・泉・瀬谷 |
出典:横浜市「農業振興地域制度の概要」(最終更新 2025年12月15日、2026年8月11日確認)
この段階で時間の見通しが大きく変わります。 詳しくは後述します。
3|農地区分を確認する
農用地区域外であれば、次は農地区分です。横浜市の審査基準では、区分ごとの方針が次のように定められています。
| 農地区分 | 転用許可の方針 |
|---|---|
| 農用地区域内農地 | 原則として許可しない(例外的に許可できる場合がある) |
| 甲種農地 | 原則として許可しない(同上) |
| 第1種農地 | 原則として許可しない(同上) |
| 第2種農地 | 周辺の他の土地で目的を達成できると認められる場合は、原則として許可することができない |
| 第3種農地 | 原則として許可する |
出典:横浜市「農地の転用の許可(第4条)審査基準」(2026年8月11日確認)
同じ審査基準には、第1種農地の要件に該当する場合であっても、第3種農地または第2種農地の要件に該当するものは第3種農地または第2種農地として区分される、という定めもあります。地図の上では同じ「農地」に見えても、周辺の市街化の状況によって区分は変わります。
許可が下りにくい土地の条件は農地転用できない土地とは【許可がおりないケース】で整理しています。
区域と農地区分の確認から、無料でお手伝いします
地番・登記事項証明書・公図から、公開情報で確認できることと、窓口へ照会が必要な項目を整理してお伝えします。
お電話でのご相談: 03-6869-4326(受付 平日10:00〜17:00)
申請から許可まで、どのくらいかかるのか
ここが最も知りたい点でありながら、一般的な解説では「自治体による」で終わってしまう箇所です。横浜市は具体的なスケジュールを公表しています。
| 段階 | 時期の目安 |
|---|---|
| 来庁予約 → 事前相談 | 予約制。公図・登記事項証明書・案内図・前面道路の埋設状況がわかる資料を持参 |
| 現地調査 | 事前相談から約2週間〜 |
| 結果連絡・来庁日調整 → 申請案内 → 申請書作成・内容確認 | 申請前に農業委員会で内容確認を受ける |
| 申請 | 毎月10日(土日祝日の場合は前営業日が受付〆切日) |
| 農業委員会会議 | 毎月下旬頃 |
| 横浜市審査 | 申請月の翌月中旬頃 |
| 許可書発行 | 申請月の翌月下旬頃 |
| 着工〜完了 → 現地確認 → 工事完了報告書の提出 | 工事完了後 |
出典:横浜市「農地の転用の許可(農地法第4・5条)申請手続き及び添付書類について」(最終更新 令和7年11月、2026年8月11日確認)
整理すると、申請できた月から数えて許可書が出るまでが約1.5〜2か月です。ただしこれは申請にこぎつけた後の話で、その前に事前相談・現地調査・申請書の内容確認があります。事前相談から現地調査までが約2週間〜と案内されているほかは所要期間が示されていないため、全体でどれだけかかるかは事前相談の際にご確認ください。
いくつか注意点があります。
許可が下りるまで工事に着手できません。 横浜市は「許可が下りるまでは、工事着工はできません」と明記しています。造成や整地を先に始めると違反転用になります。
他法令が絡むと遅くなります。 同市は「他法令が関係する場合、他法令の進捗状況によって許可日が遅くなることがあります」としています。
農用地区域からの除外が必要な場合は、この期間に収まりません。 横浜市の農業振興地域整備計画の変更には、おおむね5年ごとの定期的な変更と、1年に2回程度の随時的な変更があり、定期的な変更の期間中は随時的な変更を受け付けられないとされています。つまり随時的な変更を申し出る場合でも受付の機会は年に2回程度で、時期によっては次の受付を待つことになります。実際にどれだけ待つことになるかは農政事務所にご確認ください。

「転用できる」と「その用途で使える」は別の話です
農地転用の許可が下りても、それだけで希望する使い方ができるとは限りません。
横浜市は、転用計画や申請地の場所によっては他法令の許可が必要になる例として、開発許可、建築許可、盛土規制法許可、雨水浸透阻害行為の許可、風致地区内行為許可を挙げています。
農地法の窓口は農業委員会、開発・建築は都市計画の部門と、担当も分かれています。片方の窓口の回答だけで計画全体が進められるとは限りません。 市街化調整区域の農地であれば、この点はとくに重要です。詳しくは市街化調整区域の農地をお持ちの方へをご覧ください。
許可の基準は3つあります
多くの解説では「立地基準」と「一般基準」の2つが挙げられますが、横浜市は3つを示しています。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 立地基準 | 農地の営農条件や周辺の市街化の状況から、転用の可否を判断する基準 |
| 一般基準 | 農地転用の確実性や周辺農地等への被害防除措置の妥当性などの基準 |
| 個別基準 | 転用目的に応じた個別的な基準。個別対応となる |
このうち一般基準は、相続で農地を引き継いだ方にとって意外な壁になることがあります。同市が挙げる転用事業の確実性の要素には、次のようなものが含まれます。
- 資力及び信用があると認められること
- 転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意があること
- 遅滞なく転用目的に供すると認められること
- 行政庁の免許、許可、認可等の処分の見込みがあること
- 農地転用面積が転用目的からみて、適正と認められること
- 申請者(農地所有者や転用者)に農地法上の違反がないこと
- 地域計画に登載された農地ではないこと
つまり、「とりあえず農地から外しておきたい」という理由では許可されません。 何に使うのか、いつ着手するのか、資金はあるのかが問われます。用途が決まっていない段階では、転用ではなく別の選択肢を先に検討したほうが早いことがあります。
用途ごとに求められる計画の内容は農地を駐車場・資材置き場・太陽光にできるかで整理しています。
無許可で転用すると、どうなるのか
避けて通れない話なので、条文で確認しておきます。
まず、許可を受けないでした行為は法律上の効力を生じません。
第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
これは農地法3条6項の定めで、5条3項によって転用目的の権利移動にも準用されます。契約書を交わしていても、許可がなければその権利移動は効力を持たないということです。
次に、原状回復等の措置を命じられることがあります。
都道府県知事等は、〔中略〕第四条若しくは第五条の規定によつてした許可を取り消し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を付し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するため必要な措置(以下この条において「原状回復等の措置」という。)を講ずべきことを命ずることができる。
農地法51条1項の定めです。
命令に期限までに正当な理由なく従わなかったときは、その旨と土地の地番等を公表することができるとされています(同条3項)。また一定の場合には行政側が自ら措置を講じ、その費用を負担させることもできます(同条4項〜6項)。
罰則も定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
農地法64条の定めで、4条1項・5条1項に違反した者、偽りその他不正の手段により許可を受けた者、51条1項の命令に違反した者が対象です。さらに両罰規定により、法人の従業者等が4条1項・5条1項に係る違反行為をしたときは、その法人に一億円以下の罰金刑が科されます(同法67条1号)。
出典:農地法(e-Gov法令検索)(2026年8月11日確認)
なお条文は「懲役」ではなく「拘禁刑」です。刑法改正を反映した現行の表記で、古い解説では旧表記のまま残っていることがあります。
つまずきやすい点は農地転用でよくあるつまずきと注意点で整理しています。
転用したあと、その土地をどうするのか
転用は手段であって、目的ではありません。許可を取ること自体がゴールになってしまうと、費用だけがかかって終わることがあります。
転用後にどの方向へ進むかで、必要な手続きも順序も変わります。
| 方向 | 主に関わる手続き | 参考 |
|---|---|---|
| 宅地にして売る | 5条許可、地目変更登記、宅地建物取引業者との連携 | 農地を宅地にするには|自分で建てる場合と、売る場合の流れ |
| 駐車場・資材置場にする | 4条または5条、排水・造成の計画 | 農地を駐車場・資材置き場・太陽光にできるか |
| 太陽光発電に使う | 全面転用か営農型かで手続きが分かれる | 農地に太陽光発電は設置できるのか |
| 農地のまま貸す・売る | 3条許可。転用しない | 農地を貸したいときの選択肢と手順 |
転用せずに済む道が残っている場合もあります。使っていない農地の扱い全般は耕作放棄地になってしまった土地への対策で整理しています。
よくあるご質問
農地転用は儲かりますか?
転用そのものが収益を生むわけではありません。農地転用は用途を変えるための手続きであり、収益は転用後にその土地をどう使うかで決まります。むしろ制度の順序としては逆で、一般基準で「遅滞なく転用目的に供すると認められること」「資力及び信用があると認められること」が問われるため、用途と資金計画が決まっていない段階では許可されにくい構造になっています。「儲かるかどうか」より先に「何に使うか」を決める必要があります。
農地転用にはいくらかかりますか?
土地の条件や用途、測量や造成の要否、専門家へ依頼する範囲によって大きく変わります。内訳の考え方は農地転用の費用はいくらかかるか【内訳の考え方】で整理しています。
自分で申請できますか?
制度上、申請者本人が手続きを行うことは可能です。ただし添付書類が多く、事前相談から内容確認まで複数回の窓口対応が必要になります。判断の材料は農地転用は自分でできるか、行政書士に頼むべきかで整理しています。当相談室では、申請書類の作成が必要な場合は行政書士と連携してご案内します。
許可が出たら登記の地目はすぐ変わりますか?
自動では変わりません。転用の工事が完了してから、登記の地目変更を行う流れになります。関係は農地転用と地目変更の関係【登記はいつ変わるか】で整理しています。
市街化区域の農地なら手続きは不要ですか?
不要ではありません。許可ではなく農業委員会への届出になります。届出をせずに転用した場合は無許可転用と同様の扱いになり得ます。
事前相談には何を持っていけばよいですか?
横浜市は、来庁予約のうえ、公図、土地の登記事項証明書(全部事項証明書)、案内図、前面道路の水道・下水道・ガス管等の埋設状況がわかる資料を持参するよう案内しています。
申請の締切に間に合わなかったらどうなりますか?
受付は毎月10日(土日祝日の場合は前営業日)で、締切を過ぎると翌月の受付となり、許可書の発行もその分ずれます。
申請すれば許可されますか?
許可されるとは限りません。立地基準・一般基準・個別基準のすべてに適合する必要があり、農地区分によっては原則として許可しない方針が定められています。申請前の事前相談で見込みを確認する流れになっています。
農地転用の許可を受けた後、用途を変えたくなったらどうなりますか?
許可は申請した用途を前提に出されるため、用途を変える場合は改めて手続きが必要になることがあります。着手前に農業委員会へご確認ください。
相続した農地でも転用できますか?
相続したこと自体は転用の可否を左右しません。ただし名義が被相続人のままだと手続きを進めにくくなります。相続登記の進め方は農地の相続で名義変更(相続登記)を進める手順で整理しています。
転用すると固定資産税はどうなりますか?
評価の考え方が変わり得ますが、税額は市町村の評価によって決まります。個別の判断は税理士の領域です。考え方の整理は農地を放置すると税金はどうなるのかをご覧ください。
まず確認するのは、区域と農地区分です
転用の可否は、市街化区域か否か、農用地区域に入っていないか、農地区分は何か──この順で絞り込みます。ここで見込みが立たなければ、その先の検討は進みません。
そのうえで押さえておきたいのが、許可の前に工事を始められないこと、そして転用したあとの用途が決まっていないと一般基準を満たせないことの2点です。転用は手段であって、それ自体が目的にはなりません。
何から確認すればよいか、一緒に整理します
地番・区域区分・農地区分・接道・現況について、公開情報で確認できることと、窓口への照会が必要な項目を無料で整理してお伝えします。転用以外の選択肢とあわせてご説明します。
お電話でのご相談: 03-6869-4326(受付 平日10:00〜17:00)
本ページについて
- 最終更新日: 2026年8月11日
- 法令確認日: 2026年8月11日現在
- 対象地域: 横浜市・神奈川県東部
- 執筆: 横浜 農地・調整区域 活用相談室 編集部
参照元: e-Gov法令検索(農地法)/農林水産省/横浜市
本ページは制度の一般的な内容を整理したものです。個別の許可の可否は自治体の審査によって決まり、本ページの内容が許可を保証するものではありません。申請書類の作成は行政書士、登記は司法書士、税務の個別判断は税理士の領域であり、必要に応じて専門家と連携してご案内します。土地の売買については提携する宅地建物取引業者へおつなぎします。スケジュール・窓口・基準は変更されることがあるため、実際の手続きにあたっては各自治体の窓口にご確認ください。
